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「終わったァー!!」

 ペンを高く放って、その喜びを全身で表現する。

「そして死んだァー!!!」

 啓吾は机に突っ伏した。

 楽しい夏休み前の、地獄の期末テストが終わった。

 終わった。 …色んな意味で。

「よぉ、!」

 一護はの前の席に座り、じっとを見据えた。

「どうだ? 手ごたえは?」

 一護の声に、はにっこりと笑って右手で丸のサインを作った。

「ばっちし!」

 笑顔で続ける。

「一護が教えてくれた所、ちゃんと出来たよ。」

「そ、か。 よし!」

 よしよしとの頭を撫でる一護を見て、たつきが眉を寄せる。

「アンタさぁ、子供じゃないんだから… それ、どうかと思うけど?」

 まぁ、当人達が構わないなら、別にいいが。

「しっかし、見た目と違って真面目よねー、一護は!」

「うっせーなァ。 見た目と違ってってのは余計だ!」

 二人を見比べて、は小さく笑った。

「あたしあんまり学校来れないから、ほんと助かってるの。 ありがとう、一護。」

 は小さい頃から体が弱い。

 最近はそれでも落ち着いたが、子供の頃は入退院ばかり繰り返していたので勉強どころではなかった。

 いつからだったか。

 テスト前になると、一護自ら予想問題集を作り、の勉強を見てやっているのだ。

ガラッ

 勢い良く教室のドアが開いた。

「…一… …黒崎くん!!」

 ルキアだ。

「ちょっとつきあって!」

がしっ

 一護の同意も得ずに、そのまま教室の外へ二人して消える。

「な… 何、どしたの?」

 たつきは目をぱちくりさせた。

「………」

 はわずかに目を伏せた。

「あ、アンタが気にするようなことは、何もないんだから! は気にしないの! ね?」

「ん、大丈夫…」

 別に、二人の仲を疑っている訳ではない。

 は二人の関係を全て聞いて知っているから。

 今もきっと、虚退治に向かったのだろう。

 だけど…

「…危ないから止めてって言ったら… 一護は止めてくれるのかな?」

「え?」

 の言葉に、たつきは首を傾げた。

「…ううん、何でもないの。 気にしないで。」

 一度、ゆっくりと溜息を吐いた。


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