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ガラッ

 一年三組の教室のドアを開ける。

「あ、おはようちゃん!」

 井上織姫がにこりと笑った。

 最近、一護が変わった。

 いや、一護だけではない。

「おはよう、織姫。」

 織姫も…

「…なんかさ、この鳥ボキャブラリーが減ってない? 何かあったの? チャド。」

 教室の一角で、水色が首を傾げている。

「わからない… 今朝起きたら、こうなっていた…」

 チャドも…

 変わったと思う。

 もちろん、何が変わったかなんてわからない。

 なんと言うか…

 纏っている空気と言えば適切だろうか。

 何か、雰囲気が変わった感じがする。

 そして、それらは全て…

「みなさん、おはよう!」

 にこやかに挨拶をして教室へ入って来たのは。

 転校生の、朽木ルキア。

「おはよう、朽木さん。」

 がにこりと微笑んだ。

「あら、御機嫌よう、さん。」

 そう、ルキアが転校して来てから。

「ところで黒崎くん… ちょっと、いいかしら?」

 ルキアの申し出に、一護は思い切り眉を寄せた。

「あ? 何だよ? 用があるならここで… うっ!?」

ドスッ

「!」

 は目をぱちくりさせた。

「だ… 大丈夫? 黒崎くん! たいへん! 保健室に行かなくちゃ!」

 ルキアはそう言いながら、ぐったりとした一護の体をズルズルズルと引き摺って行った。

(今… 殴った… よね…?)

 小さく息を吐く。

「なーに溜息なんか吐いてんのよ!」

バシッ

 少し強く背中を打たれて、は振り返った。

「あ、たつき…」

 有沢たつきだった。

「で、どしたの? 一護??」

 どかっと、の前の席に座って、たつきが訊ねる。

「ん…」

 の瞳が揺れた。

「何か… 最近、仲いいよね、あの二人…」

 の声に、たつきは鼻で笑った。

「なーんの心配してんのよ、あんたは。 一護の奴が二股とか、器用なマネ出来ると思ってんの?」

「そうじゃないけど…」

 わずかに眉を寄せるに、たつきは小さく笑った。

「気にしすぎよ、あんたは。 一護にはあんたしか見えてないって、。 心配すんじゃないの。」

 たつきはそう言うが、の心配はそこではない。

(一護………)

 の瞳が揺れた。

(何か… 面倒に首を突っ込んでないといいけど…)


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