「………はぁ〜………」 黒崎一心が、ぽりぽりと頭を掻きながら、大袈裟に溜息を吐いた。 「この所安定してると思ったが… やっぱり治ってる訳じゃないんだな…」 クロサキ医院の診察室。 「とりあえず、落ち着いたが… 今日はこのまま入院してもらう。 ちゃんの家に連絡しとけよ。」 の眠るベッドの脇に座って、俯いている一護に声を投げた。 一護は、何も言わない。 一心は小さく溜息を吐いた。 「しっかし… お前がついていながら、学校で倒れるなんてな…」 パタン 去り際に呟かれた父の声に、一護は唇を噛んだ。 休診の札が掛かった、小さな病院の診察室は薄暗く… 物音一つない静寂に満ちたその場は、一護の気分を更に落ち込ませた。 カチャ… ドアの開く音。 一護は眉を寄せた。 「…ルキア、か?」 診察室に入って来たのはルキアだった。 「…い、一…」 何か言いかけたルキアの声を、小さく首を振ることで遮る。 「…のヤツな… 生まれた時から、心臓に爆弾抱えてんだよ…」 突然の一護の告白に、ルキアは目を丸くした。 「ガキの頃からずっと家の病院の世話になってて… 入退院ばっかり繰り返してたから、小学校の頃は友達も出来なくて…」 一護はグッと拳を握った。 「小さくて、弱くて、泣き虫だから… 放っておけなくて………」 続ける。 「初め、お前に死神の仕事を手伝うように言われた時、俺断っただろ?」 「ああ…」 「………の側にいてやりたかったんだ… だから………」 一護の瞳が揺れた。 わずかに、唇を噛む。 「…"護る"って、決めたのに……… 俺は何もしてやれなかった………」 やり切れない声に、ルキアが眉を寄せた。 「………一護………」 一護が小さく首を振る。 「悪い、ルキア……… 少し、に付いててやりてえんだ………」 そっと、その小さな手を握った。 ルキアはそれ以上何も言わず、診察室を出て行った。 ピク… 長い睫が揺れる。 うっすらと、の瞳が開いた。 自分の手を握る、確かな温もり。 「………一… 護………」 その声に、一護が弾けたように顔を上げる。 「…………」 が目を覚ました事に安心したのだろう、ほっと息を吐いた。 「…ごめんね、心配かけちゃって…」 の声に首を振る。 「お前のせいじゃねーよ… 俺が… ちゃんと付いててやれなかったから… だから…」 悔しそうに唇を噛んだ一護を見て、は躊躇いがちに口を利いた。 「昼間の… なに?」 の声に、一護の呼吸が止まった。 「…話してくれるって、言ったよね…?」 まっすぐに見据えられて、目を逸らす事も出来なかった。 一護はゆっくり、長い溜息を吐いた。 「わかった… 全部話す。」 を巻き込んでしまった。 にだって、知る権利はあるだろう。 「ちょっと長いかもしんねえけど… 聞いてくれ… 信じられねえと思うけど、本当のことだから…」 |