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 一護は眉を寄せた。

「…全部本当の話だ…」

 はベッドに横になったまま、じぃっと一護を見据えた。

「じゃぁ、朽木さんは死神で…」

「ああ。」

「尸魂界って所から、悪霊退治に来てて…」

「ああ。」

「間違えで、一護にその力が宿っちゃったから、その手伝いをしてる… そう言うこと?」

「そうだ…」

 一護はわずかに唇を噛んだ。

「いきなり死神とか、虚とか言われてもわからねーと思うけど… 全部本当の話だ。」

 じっと、を見据える。

「俺は、お前に嘘は吐かねえ。 信じてくれ。」

 まっすぐな声。

 はわずかに目を伏せた。

「ん、信じるよ。」

「…だよな… こんな話、信じられる訳… って、えぇっ!?」

 一護は目を丸くした。

「信じるよ。 だって、一護は人を傷付けるような嘘は吐かないもん。」

 にこりと微笑んだに、つられるように一護は細く笑った。

「…悪いな、… 巻き込んじまって…」

「ううん、一護のせいじゃないよ。」

 静かな病室。

 部屋の中は、二人の声が空気を揺らす以外に、何の物音もない。

「けど、びっくりしたぜ。 お前、死神が見えるんだな。」

 一護の声に、は首を竦めた。

「小さい頃から病院に通ってるからかな? だけど…」

 一護を見上げて、悪戯に微笑む。

「死神の格好した一護… いつもより、かっこよく見えたよ。」

「そ、そーか? ///// 」

 一護は照れたように、頭を掻いた。

「でもな、…」

 少し真面目な話なのだろう。

 一護は真剣な声で続けた。

「死神が見えるって事は、その虚ってヤツにも狙われる可能性が高いんだ。」

 の瞳が揺れた。

 一護はそっと、の手を握った。

「だけど、心配すんな。」

 じっと、を見据える。

「お前は、俺が護る。 約束する。」

 は細く笑った。

「…ありがとう、一護………」

 一護の手が、優しくの髪を撫でた。

 そっと、触れるだけのキスを、額に落とす。

「今日はゆっくり休め。 寝るまで、ついててやるから。」

「ん………」

 一護の話を聞いて、最近感じていた、一護への違和感の理由がわかった。

 久しぶりに、ゆっくり眠れるだろう。

 死神とか、虚とか… そんな事は関係ない。

 一護は、一護なのだから。


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