カラッ 隊主室の戸を開けた。 「失礼します、朽木隊長。 この書類に、隊長の判を…」 ドゴッ 恋次は言葉を飲み込んだ。 自分の真横を、巨大な霊圧の塊が抉った。 「え…? あ、あの…」 「出て行け…」 冷たく言い放たれた言葉に、恋次の息が詰まる。 何か白哉を怒らせるような事をしただろうか? 何故突然攻撃をされたのか。 何故、これほど白哉が不機嫌なのか、訳がわからない。 「貴殿の婚約者をお連れしたと言うのに、その物言いはあんまりではありませんか…」 聞き覚えの無い声に、視線を投げた。 「…あ…?」 恋次は眉を寄せた。 白い髪に金色の目をした、男。 見覚えはない。 白哉の方に視線を投げると、その側にあるソファにが寝かされている。 「…? 何で…?」 例の騒動後は、順番に各隊を回り業務を手伝っている。 今日は、十番隊の書類整理を手伝っているはずなのに。 何故六番隊にいるのだろう? 眉を寄せる恋次に構わず、白哉は再び構えた。 「失せろ、羽虫…」 男を一瞥して、向けた指先に霊圧をこめる。 「破道の六十三・雷吼ほ…」 恋次は慌てて地を蹴った。 こんな所で高等鬼道をぶっ放そうとする白哉の口を塞ぐ。 「駄目っすよ、隊長!! 隊舎ぶっ壊す気ですか!?」 「放せ、恋次…!」 白哉を止めようとする恋次と。 必死にそれを振り解こうとする白哉。 二人の様子を見て、西道は笑った。 「確かに殿はお届けしましたよ。 では、いずれまた。」 少しだけ頭を下げて、西道は六番隊・隊主室を後にする。 「あ! オイ…!」 声を投げたがその気配はすぐに消えてしまい、恋次は小さく息を吐いた。 「何だってんだ、アイツ…」 恋次の声には答えず、白哉は眠るの側に膝を折った。 「? 隊長?」 何も言わず、白哉はの全身を見回している。 傷や怪我はない。 「………」 白哉は目を細めた。 と。 何を思ったのか。 バッ の死覇装の胸元を広げた。 「!!!!! /////////// 」 突然すぎる白哉の行動に、恋次は茹でタコのように真っ赤になって。 「た、たたた… 隊長、ストップ!! 俺、いますから!!!」 と、叫んだ。 「………恋次、卯ノ花隊長を呼べ。 大至急だ。」 「へ??」 白哉の言葉に、更に訳がわからず首を傾げる。 「…わからぬか? 私があれだけ霊圧を上げても、目を覚まさぬのだぞ…」 普段はどんな些細な霊圧の変化にも気付くなのに… 「わ、わかりました! すぐに…!」 恋次は駆け出した。 自分の考えすぎなら、それでいい。 だが… 『失礼します、朽木白哉殿。』 『…何用だ?』 白哉の声に、男は首を竦めた。 『貴殿に届け物ですよ。 最愛の婚約者を…』 見知らぬ男に抱えられていたを見て、すぐに様子がおかしい事に気付いた。 どれほど親しい間柄でも、はそんな無防備な姿を見せたりしない。 「…何者だ、あの男は…」 右腕に包帯が巻かれているだけで、他に外傷はない。 「何があった… …」 白哉が唇を噛んだ。 |