ドン 一護が夜一の胸倉を掴み上げる。 「…どうしてだよ…」 一護は悔しそうに奥歯を噛み締めていた。 「どうして俺だけ連れて帰ったんだ!!!」 一護が続ける。 「あそこに残されて、生き残れる可能性が一番高いのは俺だ!! これじゃ岩鷲も花太郎もルキアも、みんな殺されちまう!!」 夜一が眉を寄せる。 「自惚れるな。 おぬしとてその可能性は無い。 彼処におった誰一人、白哉を相手に生き残れる者なぞおらぬ。」 「てめェ…」 「その手を放せ、無礼者。」 チリーン 鈴の音が耳に届いた。 同時に、投げ飛ばされた。 「げほっ、ごほ…」 一護が咽る。 夜一が目を見張った。 「……!」 はにかっと笑った。 「あはっ☆ 来てしまった♪」 I WISH ... 第11章 力 強い力は 弱きを守る 強すぎる力は 全てを壊す 貴方を守る力はいつか 貴方を壊す力になる… 古い知人と久方ぶりの再会に浸っている暇はなかった。 「!」 「どうしたのじゃ、?」 突然黙り込んだに、夜一が声をかける。 (…この霊圧は…) には覚えがあった。 無断で現世に下り立った際に、一護と共にいた滅却師の少年である。 「…人間を… 鍛えたのか?」 人間が尸魂界に侵入するなど… まして、死神達と対等に戦うなど信じ難い出来事である。 一護に関しては、浦原喜助が絡んでいる事を知っている。 他の旅禍達は、夜一が修行を積ませたであろうと予想していた。 「ああ。 と言っても、力の使い方を教えてやっただけじゃ。」 夜一を、じっと見据えた。 「…滅却師の子供にもか?」 ぴく。 夜一が眉を寄せた。 「いや… 奴は儂の修行を断った。 単独で修行を積んだようじゃが、詳しいことは解らぬ。」 「…そうか………」 「何じゃ? 石田がどうかしたか、?」 夜一が首を傾げた。 「………」 は答えずに踵を返した。 「…行くよ。 またな、夜一。」 チリーン 少女の髪飾りが、涼しい音を立てた。 色々話したい事があったが、仕方ない。 尸魂界の、霊力が乱れていた。 |