「…随分と集まりが悪いな…」

 砕蜂がわずかに眉を寄せた。

「集まっているのは、二・四・八番隊だけか… 五・十一・十二は仕方ないとして、他の連中はどういうつもり…」

 そこまで言って言葉を飲み込む。

ザッ

 近付いて来る足音に、ルキアが顔を上げた。

 そこには。

 一瞬、呼吸を忘れた。

 じぃっと自分を見据えるのは。

「に… 兄… 様…」

 白哉は何も言わなかった。

 ルキアの顔を一度見ただけで、視線すら反らした。

 突き放された気がした。

 だが、それで良いと思う。

「朽木ルキア。」

 総隊長の声に、視線を移した。

「何か… 言い遺しておくことはあるかの?」

 ルキアは一度眼を伏せた。

「はい。 一つだけ。」







I WISH ...

            第14章 黒と白








私のとは違う 力強い大きな手

二度と離すなと言ったのに…

私を抱いたあなたの手は

今は刀を握り締める








「…良かろう。」

 総隊長が続ける。

「お主の願い通り… 処刑の終わったあかつきには… 旅禍どもを無傷で帰らせてやろう。」

「…あ… ありがとうございます…」

 それだけが、心残りだった。

 一護をはじめとする、短い間だったが時を共に過ごした仲間達。

 手を出さないと、総隊長が言った。

 心残りは、もうない。

 が眉を寄せた。

「…ひどい… どうせ生かして帰す気なんてないくせに…」

 四番隊の虎鉄勇音がぼそっと呟いた。

(全くだ…)

 ぎゅっと、強く拳を握る。

「非道くなどありませんよ、勇音。」

 卯ノ花が口を利く。

「慈悲です。 何れ避らぬ終焉ならば、せめて僅かにでも迷い無く、せめて僅かでも安らかに。」

 ルキアが眼を伏せた。

「双極を、解放せよ。」

 処刑が始まる。


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