「尸魂界(ソウル・ソサエティ)も変わった… 日番谷、雛森、阿散井、吉良… 防人を知らぬ、若い力が大きい。」 少女の声に、浮竹はぽりぽりと頭を掻いた。 「気に病むな。 それでいい。 防人など、今の尸魂界には必要ないのだ。」 「では、何故目覚めた?」 浮竹の声に、は言葉を飲み込んだ。 I WISH ... 第3章 出会い たとえば もっと早く 出会えていれば 私は 強くなれただろうか それとも 失うを恐れて 弱くなっただろうか 物静かな、小さな離れ。 十三番隊の隊長室。 「………霊力の乱れが生じてはいないか?」 の声に、浮竹は眉を寄せた。 「"乱れ"とは?」 「虚の動きが大胆になっている。 西の外れで十番隊が襲われたのは聞いているだろう。 近頃、何か変わったことはないか?」 浮竹は言葉を探した。 「変わった事と言うか… 一つ、妙な事があった。」 「妙な事?」 が眉を寄せた。 「現世に魂葬に向った死神の一人が、行方知れずになった。」 「…いつからだ?」 浮竹が眉を寄せた。 「もう二月程になる。 十三番隊… 俺の部下だ。」 「…義骸(ぎがい)に入っているのではないのか?」 の声に、浮竹が首を振る。 「義骸に入っただけで、行方が掴めなくなるなんて事はない。 義骸だって、所詮は霊子体なんだ。」 その言葉に、も頷く。 『コレが完成したら… 必ず自由にしてあげますよ。』 (何だ?) が眉を寄せた。 突然、耳に届いた懐かしい声。 (やめろ、月華………) チリ わずかに、空気が震えた。 「? どうした?」 浮竹が不審そうに首を傾げる。 「いや、何でもない…」 は小さく首を振った。 「隠密へ、捜索を願い出ている。 見つかるのは時間の問題だと思うが…」 浮竹が言葉を濁した。 「…何か問題でもあるのか?」 その声に、浮竹はまっすぐ黒曜石の瞳を見据えた。 「…いや。」 言おうとして、言葉を飲み込んだ。 が少し首を傾げた。 「私はもう行くぞ? あまり気に病まず、体を労わってやれよ。」 一人、隊主室に残されて、浮竹は小さく息を吐いた。 「行方不明になっているのが、朽木ルキア… 白哉の妹だという事は、黙っておくべきか…」 それを知ったら、はどうするだろう。 |