六番隊・副隊長に就任されてすぐに、俺は朽木隊長の行動に疑問を持った。

 いつも、同じ時間に、どこかへ消える。

 必要以上に他人を寄せ付けねえこの人の事だ。

 そんな事に気付いたのも、俺くらいだろう。

 女の所にでも通ってるのだろうか。

 そうならおもしれーけど。

 興味本位だった。

 ただ一度だけ、俺は朽木隊長の後をつけたんだ。







I WISH ...

            第7章 雨








淑やかに降り続く雨のように

人知れず落つ一雫…

水溜りに波紋を作るように

私の心を乱すは

何も言わぬ貴方の瞳








 正直驚いた。

 誰も寄りつかねえ、そんな場所に、あんな物があるなんて。

 だがそれよりも俺が驚いたのは。 ―――

朽木隊長。 ―――――

 何て目で見てるんだ。 ―――

 何か言う訳でもなく、何かする訳でもなく、ただそれを見ている。

 この人にこんな顔をさせるなんて、コイツ何者だ?

 水晶の中の少女。

 水晶の中に閉じ込められているそれは、生きてるみてえに綺麗だった。

 "胸が痛い"ってのか。

 俺はその子の事なんか知らねえけど。

 朽木隊長を見てると、そう思わずにはいられなかった。

『…お前は。 ――― 』

 つけてたのがバレたんだろう。

 いきなり声をかけられて、飛び上がりそうになるくらい驚いた。

『…お前は、私の様にはなるな。』

 どこか哀しくて、驚くほどに優しい声。

 その声は、今でも忘れられねえ。

 初めて見た時に、すぐにわかった。

 アレがだったって。


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