「なー。 何故そんなに離れて歩くんだ?」 が首を傾げる。 「うるせえっ! 近寄るんじゃねえ!」 岩鷲が怒鳴った。 が頬をふくらませた。 「イチゴ、どうにかしてくれ。 せっかく、こうして縛られてやっていると言うのに。 ああ毛嫌いされては、軽く傷付く。」 「…イチゴじゃねえっつってんだろ。」 の両手を縛った布を持ったまま、一護が溜息を吐いた。 が何故縛られているのか。 問題はそこからだ。 岩鷲がどーしても、が行動を共にする事に納得しなかった。 仕方なく、は大人しく両手を縛られ、その先を一護が持つと言う事で、一事納得をしたのだが。 こう、離れて歩く始末。 敵地に乗り込んだと言う自覚はあるのだろうか? 実に、賑やかである。 先頭を歩くのは、山田花太郎。 続いて一護、。 そして、10メートル程離れて、岩鷲が歩いている。 地下水路だった。 I WISH ... 第九章 それは岩壁の花に似て 土を破り芽を出して 空を見上げてひっそりと咲く 咲けば後は散り行くのみ 一輪の花の 一時の美しさ 花が咲き散り行く様は 人の生に似ている 「…十一番隊、第三席・斑目一角様… 同じく第五席・綾瀬川弓親様… 以上二名の上位席管が重症のため、戦線を離脱なさいました…!」 四番隊の第三席・伊江村が続ける。 「各部隊の詳細な被害状況については、現在調査中です。 ただ…」 書簡を読む伊江村の額を、一筋の汗が伝った。 「…十一番隊につきましては… ほぼ壊滅状態であるとの報告が入っています…」 息を飲んだ。 「十一番隊が…!」 「そんな…」 「…侵入から数時間で、そこまで被害が出るか…」 (――――― …!!) 恋次が眉を寄せる。 「現在確認されている旅禍は3名… うち2名は、我が四番隊の隊員一人と… っ!?」 伊江村が言葉を飲み込んだ。 「何? どうしたのよ?」 松本乱菊が眉を寄せる。 「…四番隊の隊員一人と… 様を人質にとり、中央(こちら)へ移動中との情報もあります…」 「!!!」 ざわついた。 「さんが人質に…?」 吉良が目を丸くする。 「そんな、まさか… だって、は…」 松本の声が震える。 「いや、本当かも知れねえ、乱菊さん。 の奴、今は封霊環を四つも付けられてるって話だ。」 そう言うのは、九番隊副隊長の、檜佐木修兵。 「…一体どうなってるんだ…!」 「入ってきたのはどんな連中なんだよ…?」 ざわつく部屋。 「ふわ…」 雛森が不安そうに眉を寄せる。 「な… なんか大変なことになっちゃったね… 阿散井く…」 背後を振り返るが、今の今までそこにいたはずの、恋次の姿がない。 わずかに、窓が開いていた。 「…阿散井くん…?」 |