ゴォオ 「!」 過ぎ去った嵐に、気を休めている間などなかった。 「!!」 夜一が声を投げる。 「…前にもあったねぇ、同じような事。 …止める方法は? 山ジィ…」 京楽の声に、山元総隊長が小さく息を吐いた。 「止める方法などない。」 吹き荒れる風。 「一度、力が解放されたは誰にも止められぬ、絶対的な破壊者… 殺す以外に止める術等ない。」 山元総隊長が目を細めた。 「…儂が合図をしたら、全員でかかるのじゃ。」 「待て…! を殺す事は許さぬ!!」 夜一が声を上げる。 「…命を奪うだと…!? 自由を奪っただけでは足りぬか…! は… がどんな想いで封印されたと…!」 「夜一…!」 名を呼ばれ、夜一がに視線を移した。 「…ありがとう。」 「…っ…!」 その微笑に、呼吸が詰まる。 ぎゅっと斬魄刀の柄を握り締めて、が笑った。 「山本ー! 皆を連れて離れてくれー!」 その声は明るい。 「己の後始末は己で付ける! 今から封印の呪を唱えるから、巻き込まれぬよう離れてくれ!」 「…そうだ。」 「皆を護ると決めたからだ。」 「…それを決めるのは私だ。 お前ではない。」 「断る!」 「…破壊からは何も生まれぬ! 壊す力はもういらぬ!」 「そうだ、消えるのだ。 私も… お前も…!」 「深血などいらぬ! 呪われた血は絶えるべきだ!」 ゴア…ッ 炎が舞い上がった。 黒い、地獄の炎。 全てを焼き尽くそうと、自身も包む。 「…戦って、いるのか? 内なる己と…」 もう一人の自分と戦いながら、封印の呪を唱えると言うのだろうか? いや、自身の精神も霊圧も不安定な今、それを唱えれば… 「…魂魄が消滅するぞ…!」 夜一が唇を噛んだ。 巻き上がる風に、黒い炎。 「…バカが! 本当に死ぬ気か!?」 夜一が飛び出し… グッ その肩を強く引かれた。 驚いて振り返ると、そこには。 「…白哉…」 ボタタッ 血が滴る。 「…ルキアを連れて、離れていろ…」 細い呼吸を繋いで、白哉はそう言った。 「その怪我でおぬしに何が出来…!」 「下がれ…」 夜一の声を遮った。 冷たい声に、夜一が言葉を飲み込んだ。 「………」 じっと、白哉がを見据える。 その瞳が揺れた。 |