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チリチリ

 空気が震えた。

「思えば…」

 朽木白哉がわずかに目を細めた。

「お前と刃を交えるのは始めてだな。」

 が瞬きをした次の瞬間。

 朽木白哉の姿が消えた。

(閃花!!)

 恋次が目を見張った。

 白哉の得意技の一つである。

 現世で黒崎一護を仕留めたのも、これだった。

(隊長…! 何でだよ…! 本気でを…?)

ギィイン

 背後からの一撃を、浅打の刃でが受けた。

「!」

 見物していた全員が、わずかに目を丸くした。

「ひゅ〜♪ やるねえ、ちゃんも。」

 京楽が口笛を吹く。

「感心している場合ではないぞ、春水!」

 浮竹が声を荒げた。

「元柳斎先生!」

 山本元柳斎重国を見やるが、小さく首を振るだけで、二人を止めようとする素振りはない。

 がゆっくり口を利いた。

「白哉… 私が封印されている間に随分腕を上げたようだが、所詮は護廷十三隊が隊長格。 その霊圧は、防人(私)の足元にすら及ばない。」

ザン

 斬魄刀を薙ぎ払った。

 競り負けて、体勢を立て直すために、白哉が距離を取る。

 がそちらの方へ剣先を向けた。

 ザっと、薙ぎ払う。

ガっ

「!!」

 白哉が目を丸くした。

 剣圧と言うべきだろうか。

 目の前の華奢な少女は、それだけで、地面を割ったのだ。

「ありゃりゃ、凄いなぁ〜。 ちゃん、霊圧飛ばしよった。」

 市丸がどこか楽しそうに笑った。

「…そんな。 霊力は抑えられているはずよ…?」

 松本が眉を寄せる。

 現世に無断で下り立った際に、は人間の魂魄と接触をした。

 その罰として、封霊環(ふうれいかん : 霊力を封じる首輪)を付けられているのに。

「まぁまぁ本気みたいだね。 僕等も、もう少し離れた方がいい。」

「同感です。 勇音、皆を下がらせてください。」

「は、はい。」

 藍染と卯ノ花の声に、虎鉄勇音が従う。

「ちくしょう… 俺も戦いてえ…!」

 更木がいらいらしたように吐き捨てた。

 白哉が、小さく息を吐いた。

「…破道の三十一・赤火砲。」

(! 詠唱破棄!!)

 恋次が目を見開いた。

「逃げろ、っ!!」

「阿散井君、危ないよ!」

 飛び出そうとした恋次を、吉良が押さえた。

 大爆発が起こるかと思いきや。

 は躊躇わず白哉の懐に飛び込んだ。

 小さな掌で、白哉の放った鬼道を受け止める。

 少女の掌で、それは拡散した。

「!!」

 恋次が目を見張った。

「…なんて奴だよ………」

(これが、防人…)

 思わず息を飲む。

「…詠唱破棄の中級鬼道か。 中々やるな、白哉。 だが…」

 一瞬のうちに懐に入られて、鬼道を触れるだけで拡散され、さすがの朽木白哉も目を丸くした。

「鬼道はこう使うんだ…」

 少女の指先が、死覇装の上から白哉の胸に触れた。

「…破道の四・白雷!」

ゴォオッ

 大爆発が起こった。


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