1


ピク。

 何個目かわからない饅頭に手を伸ばしかけて、の動きが止まった。

ちゃん?」

 雛森が不思議そうに首を傾げる。

「来る…!」

 一人呟いて、は窓辺へ駆けた。

 思い切り、窓を開ける。

「オイ、…」

 日番谷が眉を寄せたと同時だった。

ガカカカカカカカ

「西方郛外区に歪面反応! 三号から八号域に警戒令! 繰り返す!」

 静寂は破られ、一気に慌しくなった。

「警戒令だと?」

 日番谷が眉を寄せた。

(この霊圧は………!)

 現世で会った、身の丈ほどの大刀を持った少年が脳裏を過ぎる。

フッ

 小さく笑って、は窓枠から身を乗り出した。

ちゃん…!」

 雛森が制止の声を投げる。

「馳走になった、またな!」

 はそのまま、窓から飛び出した。

 一気に、西方面へ駆ける。

 どうやら旅禍は、流魂街に落ちたようだ。

(ルキアを助けに来たか…)

 ルキアの記憶を覗いた際に、黒崎一護とどう言った関係であるかを知った。

(身の危険も顧みず、死神の力を手に入れたか…)

 は細く笑った。

 他人を助けるために命を投げ出すようなバカは、嫌いではない。

「!」

 西方面へ駆けながら、二つの大きな霊圧がそのその辺りをうろついている事に気付いた。

「クソ…! 急いだ方がよさそうだな…」

 は一心に駆けた。





「ぬ"う"ん!!!」

 ジ丹坊が、白道門と地面の隙間に手を滑り込ませた。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 地鳴りを上げながら、ゆっくり、巨大な門が持ち上がって行く。

「ごぉぉおおおおおおお!!!」

 一気に、持ち上げた。

「う… おおおおおおおっ!!!」

 一護達が目を丸くした。

「す… すげえ…!」

 開いた口が塞がらない。

「…こんなのが持ち上がっちゃうなんて…」

 井上織姫が、感心したように呟く。

「?」

 一護が首を傾げた。

 ジ丹坊の動きが止まっている。

「…どうした? なに止まってんだ? 何かあったのか?」

「…あ…」

 ジ丹坊は、冷や汗をかいた。

「ああ… …ああああああ…」

 持ち上げた門の先に、誰かいる。

 一護がそれに気付いた。

「誰だ?」

 眉を寄せる。

「さ… 三番隊隊長… …市丸ギン…」

 ジ丹坊の声が震えていた。

「あァ、こらあかん。」

「市丸、やめ…!!!」

 聞き覚えのある声が、一護の耳に届いた。

ドン

 息を飲んだ。

 ジ丹坊の、左腕が吹っ飛んだ。

「…あかんなぁ…」

「市丸!!」

 駆け付けたが、怒気を含んだ声で叫ぶ。

「門番は門開けるためにいてのんとちゃうやろ。」



*お使いのパソコンの環境によって文字化けが発生するので、特殊文字の使用を止めています。


back