「その自信はどっから来やがる。」 一角が打ち込んだ。 斬月で受ける。 「遅え!!」 一角は休まずに攻めた。 三節棍と槍を上手く使い分けて、一護を攻める。 ズダン 一護の体が地に打ち付けられた。 「どうしたよ? 威勢がいいのは口だけか?」 鬼灯丸の一節を、くるくる回したまま続ける。 「鬼灯丸の攻撃は変幻自在だ。 素人のてめえにゃ、ついてこれねえだろ。」 「…そうでもないぜ…」 一護がゆっくり体勢を立て直す。 「こっちはあんたの攻撃に… ようやく目が慣れてきたとこだ。」 その左手には、鬼灯丸の一部が握られていた。。 ! 一角が目を見張る。 (野郎…!! 俺の鬼灯丸を素手で!?) 「斑目! ぼーっとするな、敵前だ!!」 の声に、視線を投げる。 「もう一度言うぜ、一角。」 一護が宙で構えていた。 (…迅えエッ!!!) 慌てて構える。 「次ん剣を握れなくなるのは、あんただ。」 ドン 鬼灯丸は真っ二つに割れ、斬られた胸から腹にかけて血が吹き出た。 「はぁっ、はぁっ… ぐ… くそ…ッ」 一角が一護を睨み上げる。 「斑目…!」 「黙ってろ、!!」 何か言いかけたに、乱暴に声を投げた。 「最初に、手ェ出すなっつっただろ!!」 を黙らせて、一護を見やる。 「へっ… どうした… もう終わりかよ…?」 割られた鬼灯丸の一節を放り投げ、一角は武器を握った。 「残念だったなア… 俺はまだ… 剣を握れるぜ…!!」 三節棍を振り回す。 「俺に剣を握らせたくなけりゃ… この腕落とすより他に方法はねえぞ!」 一護が眉を寄せた。 「…剣を引けよ。」 「断るぜ。」 「引けってんだ!! 勝負はついてる! もう判んだろ! あんたの負けだ!!」 一護が声を荒げた。 「何の寝言だ? こいつは戦いだぜ。 勝負を決めるのは、生き死にだけだ。」 ボタボタ。 血が滴り落ちる。 一護が舌打ちをした。 「オイ、止めろよ! あんた仲間だろ!」 塀の上に視線を投げる。 は唇を噛み締めているだけで、動かない。 「余所見してんじゃねえよ! 更木隊第三席 斑目一角・ここで退いて永らえるほど…」 地を蹴った。 「腑抜けに生まれた憶えは無え!!!」 一護が唇を噛んだ。 「遅えっ!!!」 ドッ 已む無く斬月を薙ぎ払った。 朱が散った。 一角の右腕が裂ける。 「くそ… 強えなぁ、てめえ…」 鬼灯丸も粉々に砕かれていた。 「…ちっ、ツイてねえや。」 一角の体がその場に崩れる。 一護が眉を寄せた。 「…ツイてねえのはお互い様だ、ちくしょうめ。」 その右腕。 包帯の上に血が滲んで、滴り落ちていた。 塀の上の、を見上げる。 「何で止めなかった…?」 一護が続ける。 「あんたは俺を助けてくれた。 争い事を好んでるようには見えねえ。 誰にしたって、傷付くのは嫌なんじゃねえのか?」 は何も言わない。 一護はゆっくり息を吐いた。 「…止めなかったじゃねえか。 そんな表情(かお)すんなよ。」 悔しそうな、涙を堪えているような表情。 は唇を噛んで、わずかに俯いていた。 「で、治すんだろ?」 「いや、手を出すなと言われた。 それに…」 が一護を見据えた。 「…イチゴは斑目を殺さない。」 イタズラっぽく笑う。 少し照れたように、一護がぽりぽりと頭を掻いた。 「…勝手にしろ。 それと、イチゴだ。」 |