「悪りィな! 終わりだぜっ!! 志波式石波法扇!!!」 岩鷲の掌が地面を擦る。 「連環石波扇!!!」 ズドン 弓親が立っていた地面が砕ける。 「くそォ…ッ!」 苦々しく毒づいて跳んだ。 「こんなもので終わりだと!? 笑わせるなよ!!」 馬鹿にされたと頭に来ているのだろう。 弓親が岩鷲の姿を探す。 「おーい! こっちだこっち!!」 その手に、何か持っていた。 「たーまーやー!!!」 宙に浮いた弓親目掛け、思い切り投げた。 花火だ。 「…ひ…」 空中じゃどうする事も出来ない。 「う…うわあああああ!!!」 ドパーン 花火が上がった。 「!」 岩鷲が目を丸くする。 花火を受けた弓親の体が… (! 穴に落ち…!) バッ 空を舞う鳥のようだった。 突然現れたそれは。 穴へ真っ逆さまに落ちようとする弓親の体を受け止め、岩鷲の側へ下りて来た。 「あ…」 一護と別れる前に見た、死神の少女だ。 「バカ者! お前のは、たんなる油断が招いた結果だ!」 眉を寄せてそう言うが、花火を食らった弓親は気を失っている。 その体を地面に下ろして、が岩鷲を見据えた。 「なっ… 来るやら来やがれ!!」 一歩下がって、を睨み付ける。 「か、カワイ子ちゃんだからって… て、手加減しねえぞ…!」 が軽く笑む。 「私は綾瀬川を助けに来ただけだ。 お前と争うつもりはない。」 岩鷲が目を丸くする。 「何言ってんだよ!? お前死神だろ!? 俺は侵入者だぞ? お前の敵じゃねえのかよ?」 別に戦いたい訳ではないが、そんな言葉が出た。 「…お前は 護る者 だ。 私の敵ではない。」 サラッと、少女の髪が風に揺れる。 「………」 それでも岩鷲は訝しそうに眉を寄せたまま、を睨んでいた。 が少し困ったように首を竦める。 「ほら、イチゴが探しているぞ。」 「オラー、ガンジュー!! こっちかー! 返事しろいっ!!」 大分近くに、一護の声が聞こえる。 岩鷲が弾けたように声を上げた。 「一護!! こっちだ!!」 「バカ者! 怒鳴ると…」 が言いかけた時だった。 十一番隊の隊士達が、その場に駆けつけた。 「! さん!?」 岩鷲と一緒にいるの姿を見て、隊士達がワナワナと肩を振るわせる。 「テメー、この野郎! ブサイクが!! さんとツーショット決め込んでんじゃねえよ、オラァ!!」 「さんに近寄んじゃねえ! ブサイクがうつるだろ!!」 十一番隊の隊士達が、めちゃくちゃな事を言いながら岩鷲に飛び掛った。 「じ、冗談じゃねえっ!!」 人数では圧倒的に不利だ。 岩鷲は背を向けて駆け出した。 「待てー、コラァ!!」 「殺してやるぞー!!」 隊士達がそれを追う。 一人、その場に残されて、が小さく息を吐いた。 「…追われていると言う自覚はないのか。 大声を上げおって…」 「うぉおおぉおおぉおおお!!!」 岩鷲は必死に駆けていた。 「なんで俺だけ毎回毎回、こんな追っかけられなきゃいけねーんだよォ!!」 「止まれぇ、ブサイク!!」 「さんの半径三メートル以内に入りやがって、ちくしょう!! ブサイクが!!」 「殺してやるぞ、ブサイク!!」 十一番隊の隊士がそう叫びながら岩鷲を追っていた。 「ちっ… ちくしょうっ! この人数じゃ口ゲンカでも負けるっ!!」 前方から、同じくらい騒がしい団体がこちらへやって来る。 「!! …一護!! 加勢かっ!! 丁度いいところ… えぇ〜〜〜っ!!?」 一護も同じように追われていた。 「ちょちょちょちょ、ちょっとまてコラぁ!! 合流するイミないだろが!!」 一護は手を振りながら、大勢の敵を引き付けながらこちらへ向って来る。 「だ… だから、こっちくんじゃねーって… う… うおおおおおおおおおお!!」 ズドン 正面衝突する勢いで合流して、互いを追っていた敵を張り倒した。 「いくぜ、ガンジュ!! 伏せろォ!!」 「あ… あァ!?」 言うや否や、一護が斬魄刀を振り回した。 「ああああ、あぶねーな、このやろ!! いきなり剣ブン回しやがって!! アホかてめーは!?」 岩鷲が激しく抗議する。 二人は少し言い争っていたが、敵に囲まれていると言う事態… (さて… どうする?) いつからそこにいたであろう。 が少し離れた塀の上からその様子を見ていた。 「あうぉふ!!」 敵が何やらざわついているかと思った矢先。 二人の前に、一人の少年が現れて転んだ。 「んー?」 が首を傾げる。 「あの子供は…」 岩鷲が突然現れた少年を見て、にやりと笑った。 「一護… こっから逃げる、ラクな作戦思いついたぜ…」 「気が合うな。 俺もだ。」 一護も頷いて、少年を見据えた。 「は… …はい?」 |