「…一護…!」 ルキアが声をかけた。 「何だよ? ここまできて、今更退けとか言うんじゃねーだろな。」 一護は白哉を見据えたままだ。 「退かねえぞ。冗談じゃねえ。 俺はてめーを助ける為に、ここまで来たんだ。」 一護は振り返って続ける。 「てめーがもし、ここで死刑になりたいって言おうが、そんなこた知ったこっちゃ無え! 俺はてめーを引きずってでも助けだすぜ!」 戸惑うルキアに、眉を寄せた。 「こっから先、てめーの意見は全部却下だ! わかったかボケ!!」 ビシィと、ルキアを指差した。 「な…」 ルキアが目を丸くした。 「なんだそれは! 助けられる側の意見は全て無視すると言うのか!? そんな横暴な助け方があるか!!」 「うるせえ! 助けてもらう奴がゴチャゴチャ言うな! てめーはそれらしく、その辺でブルブル震えながら 「お助けー!!」 とか言ってりゃいいんだよ!!」 ルキアが恨めしそうに一護を睨み上げる。 敵前で言い争いを始めた二人に、がきょとんとする。 小さく、息を吐いた。 「…相変わらずだな、貴様は…」 ルキアのその声は、先程と変わってしおらしい。 「相変わらず… 私の言うことを少しも聞かぬ…」 一護は踏ん反り返った。 「あたりめーだろ! てめーの言うことは、俺の心配ばっかじゃねえかよ! こんな時ぐらい、自分の心配してろ!!」 ルキアが… が目を丸くした。 「心配すんな! 死にゃしねえよ!」 一護の姿が、誰かとダブって見える。 「これでも俺、ちょっとは強くなったつもりなんだぜ。」 ルキアはきつく目を瞑った。 は目を疑った。 (…海燕………) 細く笑う一護は、よく知る人物に似ていた。 浮竹が息を飲んだ。 「…白哉。」 その声は、驚きで上擦っている。 「あれは誰だ…」 白哉はゆっくり言葉を紡いだ。 「無関係だ。 少なくとも今、兄の頭を過ぎった男とはな。」 がじぃっと、白哉を見上げる。 (浮竹と… 白哉も気付いたか… イチゴが海燕に似ていると言う事に…) 白哉が口を利く。 「奴は何者でもない。 ただの旅禍だ。 私が消す。 それで終わりだ。」 少し、霊圧が上がった。 「この些細な争いの、すべてが終わる。」 ザッ 一護が一歩踏み出した。 「…随分と悠長に構えてるじゃねえか。 あんだけルキアと喋ってても、斬りかかってこねえなんてよ。」 「…誰に向かって口を利いている。 私に、貴様如きの隙を衝けと言うのか?」 (………機嫌が悪いな… 何があった?) 白哉の腕に抱えられながら、がそんな事を思った。 自分が絡んでいるとは、想像もしていないらしい。 「大層な口を利くな、小僧。」 ズ… オ アッ 「!!」 霊圧が跳ね上がった。 ザッ 一護が斬月を構えた。 「…ほう。」 白哉は感心したように一護を見据えた。 「この霊圧の中で顔色一つ変えぬか… 随分と腕を上げた様だな…」 「だめだ、イチゴ…! お前は白哉と戦うにはまだ早い!」 一護が眉を寄せた。 「…を放せよ。 俺とあんたの勝負だ…」 一護が白哉を見据えた。 「あんたを倒して、俺は帰る。」 ピリ… 空気が震えた。 「…大層な口を…」 白哉が一護を睨み据えた。 「利くなと言った筈だ、小僧。」 白哉の姿が消えた。 現世では、同じ技に胸を貫かれた。 ガッ 白哉が目を見張った。 その腕に抱えられたままのも、息を飲む。 一護の背を貫いた筈だった。 「…大層な口か?」 斬月で、一護は白哉の攻撃を止めていた。 「見えてるぜ、朽木白哉。」 ガン 弾いた。 白哉は少しも慌てた様子もなく、じいっと一護を見据えた。 「…成程… どうやら思っていた以上に、腕を上げたと見える。 …仕方ない」 スっと、斬魄刀をかざした。 「ならば貴様がその力に自惚れる前に、見せておいてやろう。」 「!」 ルキアが目を見張った。 「千年あがいても埋め様の無い、決定的な力の差をいうやつを。」 「だめだ、一護!!!」 「やめろ、白哉!!!」 ルキアとが叫んだ。 「散れ…」 ビン 一瞬の内に、白哉の斬魄刀を布で絡めた。 一護とルキア、花太郎が息を飲む。 「…あれは…」 浮竹が目を丸くした。 「貴様は…」 驚く白哉に、嬉しそうなの声が重なった。 「夜一!!!」 |