夏祭り



「あ、先輩タコヤキv」

 浴衣姿のに微笑まれて、藤真は細く笑った。

「一個でいい?」

「はい、一緒に食べましょう♪」

 数日前に、夏祭りのチラシを見た。

 懐かしく思って、電話でを誘ったのだ。

「浴衣かわいいね、似合うよ。」

 にっこり微笑んでそう言った藤真に、は嬉しそうに笑った。

「えへへv あ、先輩。 花火、始まるみたいですよ。 あそこ行きましょう。」

 3年前に見つけた穴場は、神社の社の裏だった。

 ぎゅっとシャツの裾を掴むに、相変わらずだなと細い笑みが零れた。



 花火が始まって間もなく。

「晴子さん、こっち! こっちですよ! よく見えるんです!」

 聞き覚えのある声に、は振り向いた。

「桜木君?」

「なっ、サンっ!?」

 意外な人物に出くわし、桜木花道言葉が出ない。

「こんばんわ、ちゃんに藤真さん。」

 晴子が藤真に小さく頭を下げる。

「こんばんわ。」

 軽く会釈をした藤真に、桜木が突っかかった。

「おのれ〜、補欠クン! さんとデートしてるだけならまだしも、晴子さんに色目を使うとは〜!!」

「花火綺麗だね。」

 晴子は桜木の心配をよそに、と楽しそうに話をしている。

「へ〜、キャプテン達も一緒だったの?」

 実は桜木が晴子と二人きりになりたいがために、わざとはぐれたのだ。

 しかし、この鈍い二人が揃ってしまった。

 ある意味、仙道や沢北よりも強敵である。

「一緒に探そうよ。 きっと探してるよ。」

 のこの台詞に、桜木撃沈。

「人が多いから、一周して見つからなかったら、諦めるしかないな。」

 気の毒に思った藤真がフォローした。



「あ、彩子さんに宮城さん。」

「ふふv こんばんわ。」

 彩子がにっこりと笑った。

「お? みっちーじゃないか?」

 桜木が宮城の背後にいた人物を指差した。

 一瞬ぎくっとしたようだったが、三井は4人を見回した。

「…よぉ。」

 内心藤真とが一緒にいる事が、気に食わないと言った様子である。

「ダンナ〜、晴子ちゃんいましたよ〜。」

 宮城が人込みに向かって言った。

 人波より頭一つ分出ていて、随分目立つ。

「げ…」

 忍び足でその場を去ろうとした桜木に、ゲンコツが炸裂した。

「こ〜の、バカが!! わざとはぐれたりしおって!!」

 がみがみと説教が始まろうとした所。

「藤真じゃないか。」

 聞き慣れた声に振り向いてみると。

「花形。」

「あれ? 牧さん?」

 藤真の言葉を<が続けた。

 花形がを見て、納得したように頷いた。

「…俺達の誘いを断った理由はコレか。」

 藤真は悪びれる様子もなく、とびっきりの笑顔で答える。

「むさい野郎達と行くより、可愛い女の子と行った方が楽しいだろう。」

 牧を見て、さらに続ける。

「牧も一緒だったのか?」

「いや、今しがた会ったばかりだ。」

「一人だったんですか?」

「花形は一人だったな。」

 牧に振られて、花形は首を竦めた。

「逸れたんだ。 何せこの人込みだからな。」

 と、その時。

ちゃ〜んっ!!」

「ノブ、そんな大きな声で言わなくても聞こえるよ。」

 空の焼きそばを片手に手を振る清田の隣で、神が少し困ったように笑った。

「な〜っ、野猿にジンジンまで!」

 桜木が悔しそうに唇を噛んだ。

(晴子さんと二人きりの時間が………)

「あ、かき氷だ〜v」

 神が持っているかき氷に、が目を付けた。

「食べる?」

 そう言って、に器を渡す。

 そう、俗に言う。−−−

 間接キス。

「おのれ〜!! ジンジンの分際で〜!」

 暴れそうになった桜木を、赤木が押さえた。

 他のメンバーは叫びはしなかったものの、恨めし気に神を睨んでいる。

 特に、三井の形相は凄まじかった。

「何か言いたいみたいですね。」

 首を竦めた神に、三井はけしかけた。

「…勝負しろ。」



 面白そうだから、そんな理由で二人の勝負を見てみようと、一行は公園に向かった。

 しかし、そこには先客がいた。

 ゴールに吸い込まれたボールを拾おうとして、それは一行に気付いた。

「流川君vvv」

 桜木が慌てるが時既に遅し。

 晴子の目はハートで、桜木がいくら呼びかけても反応しない。

「おのれ、キツネ!! 勝負しろ!!」

「流川! 俺が相手になってやる。」

 桜木と清田が、流川に突っかかった。

「待て、俺達が先だ!」

 三井が言った。

「…俺も、二人に相手して欲しいかな。」

 宮城が藤真と牧を見上げ、二人は楽しそうに顔を見合わせた。

「まったく、こやつらは…」

 頭を抱えた赤木に、花形が言った。

「いいじゃないか、俺もお前と勝負したいぜ。」

 溜息をついた赤木に、彩子が言う。

「ちょうど10人いる事だし、試合したらどうです?」

「あ、見たいです。」

 の笑顔を見て、断れる人間はいない。

 赤木も例外ではなかった。

 湘北 vs 翔陽・海南。

 夢のような試合が行われた。



 試合は、翔陽・海南チームが近差で勝利した。

「先輩、そろそろ帰りましょうよ。」

 誰が送るか。

 争奪戦が始まるより先に、が藤真に言った。

「誘ったのに結局バスケ… 悪かったね。」

 ばつの悪そうに言った藤真に、は首を振る。

「凄い試合でした。 その、楽しかったです。」

 にっこり笑ったの頭を、優しく撫でた。

「先輩、ありがとうございました。 オヤスミなさい。」

「さてと… 帰るか。」

 家の前までを送って、藤真は伸びをした。

「お前らも帰れよ、じゃあな。」

 後を付けていた事がバレバレだったメンバーは、ばつの悪そうに帰って行った。

にあんなに無防備に微笑まれて送り狼にならないなんて… 藤真さん、紳士だわ。」

 彩子が感心したとかしなかったとか。



× × × × × × × × × ×



 霧島愛華様のリクです。
 @放課後に偶然会い、お祭りに行く約束をする。
 Aお祭りでは互いのメンバーに会い、結局バスケをして帰る。
 @の過程が見事に飛ばされました。
 すみません。m(_ _)m
 長々と書いた割には、まとまってないし、海南までゲスト出演してるし。
 詳しいリクでしたので、書き上げは早かったです。
 また機会がありましたら、ぜひ、リベンジさせて下さい。


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