お買い物



「悪いね、付き合わせちゃって。」

 藤真がすまなそうに言った。

「私で良ければ、いつでも付き合いますよ。」

 にっこりと笑って、が続ける。

「何を買うんですか?」

「個人的な買い物はバッシュだけ。 後は、テーピングが切れてたかな。」

 翔陽高校バスケ部には、マネージャーがいない。

 練習時のドリンク類は一年に任せてあるのだが、こう言った薬品の補充は藤真自らやっていた。

「じゃあ行こうか。」

 太陽が照り点ける。

 今日も暑くなりそうだ。



 藤真が会計を済ませている間、は店内を見て回っていた。

 ふと、一箇所で足を止める。

 視界に映ったのは、赤でラインの入った白のリストバンド。

 それに字が書いてある物を、は持っている。

「どうした?」

 藤真の声に何でもないと首を振るが、藤真はリストバンドを見て小さく納得した。

「さ、行こう。」

 を促して、藤真は店を出た。

 買う物は全て購入したので、午後の部活が始まるまで時間がある。

「食事にはまだ早いな。 少し見て回ろうか。」

「はい。 色々案内して下さい。」

 藤真は少し考えて、の好みそうな雑貨屋に案内した。

「かわいい〜v」

 棚に飾ってあったウサギの縫いぐるみを抱き締めるに、口元が綻ぶ。

(可愛いのはどっちだよ。)

「先輩、見て下さい。 ほら、ピンク。」

 にこにこと笑うに、つられて笑みが零れる。

「似合ってるけど、どこに飾るんだ?」

 の部屋は、既に縫いぐるみで埋め尽くされているのだ。

「あ、そうだった…」

 名残惜しそうに縫いぐるみを戻す。

「ほら、こっちの小さい方はどうだ? コレなら鞄にも付けられるだろう?」

 藤真が手に取った猫のキーホルダーに、は飛び付いた。

「あ、かわいい〜v はい、買って来ます!」

 レジに急ぐを微笑ましく見ていたが、店内女の子ばかりだと言う事に気付いて、藤真は慌てて外に出た。



「藤真… そう言う趣味があったのか?」

 更衣室で花形が不思議そうな顔をした。

 首を傾げる藤真に、足元を指差す。

 藤真は花形の指差した先にある、自分のバッグを見つめた。

「ん?」

 何かぶら下がっている。

 猫のキーホルダーのようだ。

 いつの間に付けられたのだろう。

 嬉しそうに笑うが、一瞬浮かんだ。

「くれたんだよ、お揃いみたいだな。」

 そう言って笑う藤真に、花形は再度不思議そうな顔をした。



× × × × × × × × × ×



 綾様のリクで、二人でお買い物です。
 どこに行こうか悩みました。
 次はお洋服とか、買いに行きたいですね。
 遅くなりましたが、企画に応募して下さり、ありがとうございます。


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