太陽が眩しいばかりに照り付ける。 「海だ〜っ!!!」 湘北高校バスケ部は、海に来ていた。 照り付ける太陽、輝く水飛沫、そして。 「こらぁ〜、あんまりはしゃぐんじゃないわよ! 他の人の迷惑になるでしょう!」 「彩子さんも。 ボリューム押さえて下さい。」 二人のマネージャーの、水着姿。 ((((生きてて良かった!!!)))) (何を大袈裟な…) 涙を浮かべて喜ぶ問題児軍団に溜息を吐いて、赤木は二人を見据えた。 彩子はスタイルの良さを生かして、白いビキニに水色の柄の入ったパレオを巻いている。 は、赤い水玉フリルの可愛らしい水着だった。 白い肌に、派手な色が映えて、似合っている。 何か言おうにも言葉の出ない赤木に、彩子がいたずらのように笑った。 「先輩ってば、何見惚れてるんですか?」 「ち、ちがうわ、バカ者!!」 赤木が何故慌てているのかわからず、は小さく首を傾げた。 「サンっ! この天才とボートに乗りませんか?」 「あ? 海と言えば、スイカ割りだろ?」 「ビーチバレーしようよ。」 「……………。」 見事に意見がバラバラである。 互いに自分の主張を譲るつもりはないようだ。 海に来たのに海にも入らず何をやっているのだろう。 「…ジュース買って来ますね。」 睨み合いが長引くと判断して、彩子はを連れて売店へ向かった。 「あぁ、いらっしゃい。」 「藤真さんっ!?」 売店に入るなり、彩子は叫んだ。 「え、何? 花形さんまで?」 驚く彩子に、が説明する。 「アルバイトで、2日だけ手伝ってるんですよ。 ね?」 「そう言う事。 で、ジュースでも買いに来たの?」 彩子は一人納得した。 店にやたら女の客が多いその理由を。 「先輩、海に入ります?」 缶ジュースをビニールに入れる藤真に、が訊ねる。 「ん、もう少ししたら休憩だからその時にね。」 (まずい。) 彩子の直感がそう言った。 今日、藤真と湘北のあの問題児達が顔を合わせるのは、非常にまずい。 争奪戦に火花を散らしているのに、藤真が現れたら、乱入で勝ち逃げされる。 日頃から絡みで、藤真を毛嫌いしているのに。 最悪、今日は血を見るかも知れない。 「藤真さん、あのっ!」 「ん? ああ、お代はいいよ。」 にっこり笑った藤真に、彩子は毒気を抜かれた。 「俺達のおごり。 ゆっくり楽しんでおいで。 でも、沖まで出ない事。」 「藤真、何を勝手に…」 呆れる花形に、藤真は言う。 「二人の水着姿を見せてもらって、お代なんか取れないだろ。」 瞬間、彩子の声のトーンが上がる。 「いやだわ〜、藤真さんっv お上手ねぇv」 「えへへv いただきますv」 上機嫌で売店を後にして、彩子は思った。 今日は藤真を応援しようと。 ジュースで一息吐いて落ち着いたのか、ビーチバレーで意見は落ち着いた。 「喰らえ! この天才のアタックを!!」 桜木の渾身を込めたアタックが炸裂した。 「なんのっ!」 宮城がレシーブを受け、彩子が繋ぐ。 「それ、行け、流川!」 流川のアタック。 何の恨みがあるのであろう。 ボールは桜木の顔面にヒット。 「おのれ〜、キツネ〜! この天才に何の恨みが〜!!」 流川に向かって振り上げられた拳を、三井が止めた。 「こんな所で喧嘩なんかするんじゃね〜よ!」 桜木の拳は止められたが、カウンター、流川の一発が桜木にヒットする。 「…あ。」 「おのれ〜! 離せ、みっち〜!! ぶん殴らないと気が済まねぇ!!」 「止めなさい、桜木花道!」 頭を抱えて彩子が首を傾げた。 「?」 辺りを見回すと、風に流されたのだろうか。 沖の方に流れて行くビーチボールを、が追っている。 砂浜から、かなり距離が離れていた。 「〜っ! 大丈夫〜!?」 彩子の声に答えるように、は手を上げた。 「っ…!?」 彩子の見ている前で、の体が沈んだ。 「!!」 駆け出そうとした彩子より早く、上に着ていたパーカーを放り投げて、藤真が海に飛び込んだ。 (な、に? 足が…誰?) 何かに引きずり込まれるように、は海の中に引っ張られていた。 (怖い… 助けて…!) ざばぁっ! 肺の中に空気が入った。 海水を飲んだのか、数度咽て、はゆっくりと目を開けた。 「…せんぱぃ。」 藤真は安心したように、小さく息を吐いた。 そのままを連れて、浜に上がる。 「!」 彩子がタオルをに被せた。 「もぉ、無茶しないでよ。 心配したじゃない。」 藤真はを抱えたまま、問題児軍団を睨み据えた。 「お前等いい加減にしろ! 自分達の事しか考えてないから、周りが無茶をしないといけなくなるんだ!! の事、大事に思ってるなら、2度とこんな事のないようにしろ!!」 あまりの迫力に、言葉がなかった。 藤真はを休ませるため、海の家に足を向ける。 「…先輩、ゴメンなさい。」 自分が怒られたと思ったのか、泣き出しそうな表情で藤真を見上げる。 「いいんだよ。 でも、2度と無茶はしないでくれ。」 が首を傾げる。 「…足、引っ張られた気が………」 「気のせいだよ…」 心中、やっぱりと納得する。 が、泳ぎが得意な事は知っている。 毎年、この海ではこう言った水難事故が後を絶たないのだ。 (出る、って本当みたいだな…) これからは他の海に遊びに行く事にしよう。 藤真は心にそう決めた。 × × × × × × × × × × 麻妃様のリクで、逆ハー風味との事。 夏だし、海に行ってもらいました。 海=溺れて助けられる。 ベタですね…。 企画応募、ありがとうございました。 |