また一緒に…



「まったく、いつまで泣いてるんだよ…」

 藤真が呆れたように呟いた。

「うるさいわね、アンタこそ何で泣かないのよ!」

 が恨めしそうに藤真を睨んだ。

 今しがた二人で映画を見て来た所だ。

 今話題の映画、感動して泣けると評判である。

「うぅ〜… ルーシーちゃん………」

 映画を思い出したのか、はまた泣き出してしまった。

、落ち着くまであそこでお茶しよう。」

 泣きながら歩いていると人目に付く。

 周りから見たら、藤真が泣かしているようだ。

 何気なく入った店は、スターバックス。

 の目に涙が溢れた。



 日が暮れかけて、二人は場所を移した。

 これから港の近くで、花火大会があるのだ。

 藤真率いる翔陽バスケ部は、明日からまた練習である。

 たまの休みに時間を作って、藤真はと会っていた。

「すごい人だな… 、逸れるぞ。」

 差し出された藤真の手をは一瞥しただけで取らない。

「オイ… 世話やかすなよ。」

 藤真はの手を取った。

「子供じゃないんだから、平気よ!」

 恥ずかしいのか、強気でそう言ったに藤真が即答した。

「俺が嫌なんだよ。」

 その言葉に驚いたのか、が目を丸くしていると花火が打ち上がった。

 夜空に散る色とりどりの花火を見ながら、は溜息を吐いた。

「ねぇ、健司…」

 花火を見上げる藤真の横顔を見据える。

「ごめんね…」

「は?」

 突然の謝罪に、藤真は驚いてを見据えた。

「あ、だって、ほら! 健司疲れてるのに、私ってば我侭で…」

 の言葉を藤真が続ける。

「強がりで、でもそれは照れ隠し。 疲れている恋人に、素直に優しくなれない超が付く程の不器用なヤツ…」

 は一瞬怒鳴りそうになるのを、ぐっと堪えた。

「わかってるわよ、そこまで言わなくても…」

 バツの悪そうに頭を掻く。

「でも…」

 藤真がを見つめた。

「そんなお前だから、こうやって、また一緒に… 花火を見たいなって思うんだ。」

 鮮やかな花火が霞んで見えるほど、藤真の微笑は透き通っていた。

「………バカ。」

 の目尻に滲んだ涙を優しく拭って、藤真はを抱き寄せた。

 二人で花火を見た事、絶対忘れない。



× × × × × × × × × ×



亜椎 「トコ様のリク。 気が強いが涙もろいヒロインとの事でした。」
藤真 「俺、こう言った話の方が好きだな。 さばさばしてるし、後に引かないからじれったくないし。」
亜椎 「所要時間最短です。 速攻で書き終わりました。 ちなみに映画は、アイ・アム・○ムです。」
藤真 「後は、トコさんの希望に適ってるっかって事だな。」
亜椎 「…企画応募ありがとうございました。」


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