数学のレポート


「おい、。」

バシッ

 教科書で軽く殴られて、は机に突っ伏していた顔を上げた。

 少し眠そうに、じっと目の前に立つ日番谷を見据える。

「…なんです、日番谷先生? 下校時刻ですか?」

 の声。

「"下校時刻ですか?"じゃねえだろ…」

 日番谷は疲れたように、どっと溜息を吐いた。

「で、出来たのか?」

 声を投げる。

「? 何がです?」

 は目をぱちくりさせた。

 日番谷は二度目の溜息を吐いた。

 ここは死神学園・一年三組の教室。

 担任であり、数学を受け持っていた日番谷は、の補習に付き合っていた。

「数学のレポートだ。 出来たのか?」

 日番谷の声に、は眉を寄せた。

「ああ…」

 気のない返事をした。

「出来ましたよ、ほら。」

 と、日番谷にレポートを差し出した。

「どれ…」

 の前の席に座り、レポートに目を通した。

 日の暮れかけた教室。

 他に生徒の姿はなく、オレンジ色の西日が教室の窓から二人を照らしていた。

「…何だよ… 出来んじゃねーか…」

 きちんとまとめられた数学のレポート。

 それに目を通して、日番谷は小さく息を吐いた。

「お前、一人で出来るならはじめからやっとけよ。 わざわざ居残りでレポートなんかする必要ねえだろ。」

 呆れたような日番谷の声。

 は細く笑った。

「…だって、居残りでもしないと、先生と二人っきりになれないでしょ。」

 突然の声に、日番谷は耳を疑った。

 眉を寄せて、じっとを見据える。

 日番谷を見て、はイタズラに笑っていた。

 日番谷は何度目かわからない溜息を吐いた。

 バンッと、レポートでその頭を叩く。

「アイタッ!」

 突然の攻撃に、は小さく悲鳴を上げた。

「な、何するんですか、先生〜っ!」

 恨めしそうに睨むに、日番谷は腰を上げた。

「…バカな事言ってないで、さっさと帰れ。」

 教室を出て行こうとする日番谷に。

「あ、先生! 帰り、バイク乗っけて下さい〜!」

 が声を投げる。

 日番谷は溜息を吐いた。

「10分後に、校門前に来い! いなかったらおいてくぞ!」









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時架 さまより、『学パロ』とのリクを頂きました。

日番谷くんは、数学の先生と言う事で。

遅くなりまして申し訳ございません。

死神学園…

シリーズ化出来そうですね。

リクエストありがとうございました。



2006. 3. 3.   亜椎 深雪


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