十番隊の日常



じぃ〜。

「…何よ?」

 無遠慮な視線に、松本が眉を寄せた。

 十番隊の執務室。

「………」

 は何も言わず、じぃーっと松本を見据える。

「…何よ? って聞いてんのよ。 何かついてる?」

 松本が不審そうに眉を寄せる。

 は意を決したように一度頷いた。

「なぁ、松本…」

 真っ直ぐに、松本を見据える。

「触ってもいいか?」

ブッ

 の突然の声に、日番谷が吹き出した。

「ええ、いいわよ。」

(いいのかよ………)

 二つ返事で頷く松本を見て、軽く疲れすら覚える。

「…むぅ。 本物だな…」

 松本の胸に触りながら、が眉を寄せた。

「当たり前でしょ。 変な事言うと怒るわよ… 」

 の手を振り払って、松本が髪をかき上げた。

 がわずかに俯いた。

「…私も… もう少し、欲しい。 どうすれば、大きくなる?」

 執務室で、このような会話。

(こいつ等、俺がいる事忘れてるだろ…)

 日番谷は健気にも、無視を決め込んで仕事を続けていた。

「んー、どれどれ…」

 ふにゃっと、松本がの胸に触った。

「あら… 体のラインが細いわりに、意外とあるじゃない。 死覇装の上からじゃわからないけど。」

「そうか? …って、揉むな!」

 が松本の手を振り払った。

「あら、知らないの? 揉んだら大きくなるのよ。」

 少しも悪びれた様子もなく、松本が続ける。

「大きいのも大変よ。 肩は凝るし、疲れるし… 気を付けないと、太って見えるしね。」

「そうなのか? あ、だから、死覇装を崩して着てるのか…」

 が納得したように呟いた。

「それもあるけど… 色々と楽なのよv」

 細く笑って、松本が続ける。

「何か仕事がある時に、男の人に頼んだら、ぜーんぶやってくれるのよ♥」

「…そう言う理由だったのか…」

 日番谷が眉を寄せた。

 呆れたように、小さく息を吐く。

「普段から真面目に仕事もしねーで、周りの連中を扱き使ってるって事か…」

 軽く睨まれて、松本が首を竦める。

「やーねぇ、冗談に決まってるじゃないですか。 この書類、五番隊でいいんですよね?」

 日番谷が処理を終えた書類の束を持って、十番隊執務室出口へ向かう。

「なー、日番谷は、私と松本なら、どちらの体系が好みだ?」

 全く空気を読んでない深雪の発言。

 日番谷が眉を寄せる。

「俺に振るんじゃねえ。」

 一言だけそう言って、書類に視線を戻す日番谷。

 ドア付近で、松本が細く笑った。

「まぁ、照れちゃってv 隊長って、この手の事に関しては本当ウブですよねーv かーわいい♥」

 からかうような口調。

「…殺すぞ、てめえ…」

 額に青筋を浮かべながら、日番谷が松本を睨んだ。

「冗談ですよ。 、こっちにいらっしゃい。」

 ソファに座っているに、手招きする。

「いい加減にしないと 隊長本当に怒っちゃうから、行きましょう。」

「うむ。 日番谷、仕事に励めよ。」

 元気に手を振って、松本に続いて執務室を出た。

 一人残された執務室は、嵐が去ったような静けさが漂っていた。

「…松本の野郎… いつかセクハラで訴えてやる…」

 溜息混じりに、日番谷が呟いた。









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さくらんぼ♪ 様のリクです。

連載ドリーム 『 I wish ... 』 のヒロインで、お相手は日番谷。

『シロちゃんをからかって遊んで下さい!』

との事でした。

日番谷隊長をからかうなら、乱菊姐さんでしょう。(笑)

この話のコンセプトは、『女の子パワーに圧倒される日番谷』。

『夏休み企画・2005』 へのご参加ありがとうございました。



2005. 9. 3.   亜椎 深雪


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