最後の手紙



拝啓。

 貴方がいなくなって、三度目の冬になりました。

 今の私はあの頃の貴方と同じ、 156 cm。

 三年前の貴方の目線の高さで、貴方のいない景色を見ています。

 まだ、"貴方がいれば"と思う事もあるけれど…

 自分の道を見失っていた頃ほど、哀しいと思う事はなくなりました。



 私は。−−−−−

 髪が伸びました。

 掃除、洗濯、料理など、家事が得意になりました。

 夢を見つけました。

 少し、大人になりました。

 私を支えてくれる人達がいる事に、気が付きました。

 その人達のために、そして自分のために、強くなろうと決めました。



 勝気で笑ってくれた 貴方が好き。

 優しい言葉をくれた 貴方が好き。

 側にいてくれた 貴方が好き。

 私を見てくれた 貴方が好き。

 どんな一秒も真剣だった 貴方が好き。





 今は誰よりも貴方が好きです。

 貴方より他の誰かを好きになるなんて、考えられません。

 貴方の事を忘れる訳じゃないけど。

 もし、他の誰かを好きになる事が出来たら、その時は…

 その人の前で、貴方のそばにいた頃のように、笑ってもいいですか?

 今はまだ、貴方にだけ向いている私の気持ちを、その人に向けてもいいですか?





 綺麗な思い出を ありがとう。

 私を支えてくれて ありがとう。

 私を好きになってくれて ありがとう。



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