ホームパーティ



「宗ちゃん、そこのお皿取って並べてくれる?」

 元気いっぱいな可愛い幼なじみに、神は苦笑った。

、鼻にクリーム付いてるよ。」

 くすくすと笑われて、は真っ赤になった。

「もう、宗ちゃんのいぢわる…」

 楽しそうなキッチンとはうって変わって、ここは、ロビー。

 重苦しいような、何だか微妙な空気が漂っている。

 二人の留学生が日本にやって来て、早一週間が経とうとしている。

 何とか無事に過ぎて行った。

 そしてどう言う成り行きかはわからないが、こうしてホームパーティが開かれることになった。

 先ほどから、重い沈黙が流れている。

 招待されたのは、湘北のメンバーと藤真、神、それに偶然神の家に遊びに来ていた清田である。

 神はを手伝い、晴子と共にキッチンに篭っていた。

 桜木と清田は、の家に招かれて落ち着かないのか、先ほどからそわそわしている。

 藤真は何度も来ているのか、半分自分の家と言った感じでくつろいでいた。

 流川は相変わらず、無口にだんまりを決め込んでおり、宮城は彩子に何やらひたすら話しかけていた。

 三井は、ふと家の中を見回した。

 の家に招かれたのは、二度目である。

 あの時も思ったのだが、これだけの人数が一度に入れる家に一人で暮らしていて、淋しくはないのだろうか?

 いや、今は一人じゃないが。

 ふと、エリオルと目が合った。

「ボクが、に言ったんですよ。 折角だから、皆さんを招いてパーティをやろうって。」

 突然の発言に、全員が振り返った。

 エリオルは、首を竦めた。

「丸二年間、ボクは、ずっと貴方がどんな人なのか、想像してました。」

 グレーの瞳が、ゆっくりと視線を移してやがて止まった。

「フジマさん。 貴方は、に聞いたとおりの人でした。」

 突然振られて、藤真はわずかに目を丸くした。

「俺が何だって………」

「おまたせしました〜☆」

 緊迫した空気を全く読んでいなかったが、料理を盛った大皿を運んで来た。

「ペペロンチーノに、カルボナーラ、ピザはシーフードです!」

 エプロンを着けたままガッツポーズをするに、途端に場が和む。

「デザートはチーズケーキと、アップルパイです! たんと召し上がれ!」

 満面の笑みを浮かべるに、彩子が声を上げて笑った。

「やっぱり、アンタが最強ね。 さ、皆、温かい内に食べましょう。」

 小皿に、取り分ける。

 エリオルがどんなつもりだが知らないが、重苦しい雰囲気は好きではない。

 それは皆同じなようで、それぞれ料理に手を付け始めた。



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