帰国



「んじゃ、あばよ。」

 長かったような短かったような2週間が過ぎた。

 大きな荷物を背負ったマイケルが、見送りに来た湘北のメンバーに白い歯を見せて笑って見せる。

 あの日を境に、マイケルは大分打ち解けて来た。

 同じクラスの三井とは、よく話しているのを見かけた。

「じゃ、。 クリスマスは、こっちで過ごすんだよね?」

「ん。 おじい様に、いつのもケーキって言っておいてね。」

 少し背伸びをするに合わせて、エリオルが屈む。

「 Bye. 」

 外国式の挨拶を交わした時。

「あ〜〜〜〜〜っ!!!」

 桜木が大声を上げて、突然エリオルに掴みかかった。

「ニミメガネくん、い、今、何を…」

 その様子を見て、マイケルが声を上げて笑う。

「 Hey ! 頬にキスくらいでそんなに怒るなよ! ヤキモチか?」

「バカね、桜木花道。 ほーら! 手を離してあげなさい!」

 彩子のいつものハリセンが、勢いよく炸裂した。 

 声をあげたのは桜木だけだったが、三井や流川も同じような表情をしていた。

「またな、!」

 マイケルが近付くと、は少し警戒したように距離を取った。

「…ま、いいけどな。」

 エリオルに続いて搭乗カウンターへマイケルが歩き出す。

 彩子が首を傾げた。

「ねぇ、前から気になってたんだけど… マイケルに対しては、異様に警戒してない?」

 は首を竦めた。

「実はですね…」

 に耳打ちをされて、彩子が叫んだ。

「えっ!? 会ったその日に口説かれて押し倒された!?」

「彩子さん、声が大きいですよ!」

 真っ赤になって叫ぶ

 搭乗カウンター越しに、マイケルが笑っている。

「結局何もなかったんだからいいだろ♪」

「マイケル、てめぇっ!!」

 広いホールに、三井の声が響いた。

 何かとあったが、二週間は無事に過ぎた。

 秋が更けて行く。



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