正直に



「お疲れ様でした!」

 練習か終わった。

「あ、ノブ。 一緒に帰るだろ?」

 神が更衣室にむかって駆け出した清田に、声をかけた。

 清田は一度止まった。

「今日、行く所があるから先に失礼します。 お疲れ様でした!」

「あ、お疲れさん。」

 清田がどこへ行くのか、神は知る由もなかった。



湘北高校。

「お疲れ様でした!」

 練習終了後。

 は忙しそうに動き回っていた。

、校門で会いましょう。 待ってるわ。」

「はい。」

 彩子の言葉に頷いて、はパタパタと走った。



 校門には、バスケ部のメンバーが屯っていた。

「みっち〜、見たか! この天才のリバウンドを!」

 桜木が意気揚々と話を振る。

「アンタはまだまだ! すぐ調子に乗るんだから。」

 彩子がハリセンで一度、桜木の頭を叩いた。

「彩ちゃん、ラーメン食べていかない?」

 宮城が誘ったかと思えば。

「ったく、何してんだよ…」

 三井が、まだ姿を見せないにイライラしていた。

「………清田。」

 流川の声に、全員が振り返った。

 射抜くような柄の悪い目線に、清田は一瞬怯んだ。

「何しに来たんだよ?」

 眉を細める三井を、清田は真っ直ぐに見据えた。

「藤真さんには、先に言って来ました。」

 清田は湘北の面子を見回した。

「俺、負けませんから。」

 突然の発言に、湘北のメンバーは首を傾げることしか出来ない。

ちゃんと学校も違うし、それだけで不利だけど。」

 一息吐いて、続ける。

「俺、自分に正直に生きるって決めました。」

「お前、何言って………」

「あれ、清田君?」

 三井の声は、話の中心にいた少女に遮られた。

 片づけを終えたがその場に現れ、何故か少々空気が重くなる。

ちゃん! 一緒に帰ろう!」

「え…?」

 首を傾げるの手を強引に引く清田を、誰も止める事は出来なかった。



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