日曜日。 朝の10時頃、久しぶりの休日を公園でやっぱりバスケをして過ごすバスケバカが一人。 ふと視線を上げて、流川は思いがけない人を見た。 (…何だ?) 、時間を気にして急いでいる様に見える。 道行く人は皆振り返り、見惚れる。 流川は舌打ちして、自転車に跨った。 絡まれそうになっているの腕を取る。 「何やってんだ、どあほう。」 は首を傾げた。 「おはよう、流川君。 どうかしたの?」 危機感をまったく感じていないその様子に、ため息が漏れる。 「そんな格好で歩いてんじゃねえよ。 どこ行くんだ?」 「空港まで友達を迎えに行くの。 私の格好、おかしい?」 首を傾げるに、流川は再び溜息を吐いた。 「そうじゃねえ…」 むしろその逆。 危ないから、かわいい格好をするなと言いたいのに、性格上そんな事は言えず。 もで、性格上気付かず、危機感も感じず。 流川は三度溜息を吐いた。 「…駅まで送ってやる。 乗れ。」 性格上、そんな台詞を無愛想に言う流川。 「ありがとう。 遅れる所だったの。」 にっこり笑って自転車の後ろに座る。 しっかり掴まっていろと言いながら、その密着された態勢に流川は少しだけ緊張した。 「ありがとう、流川君。 助かっちゃった。」 微笑むに、思わず抱き締めてしまいたい衝動にかられる。 「っ!!」 突然名を呼ばれて、は驚いて振り返った。 振り返り様に、力強く抱き締められる。 「きゃっ…!?」 が悲鳴を上げると同時に、流川がそれを殴った。 「………っ!」 それはを抱き締めたまま、視線だけを流川に向けた。 (…デカイ。) それを見た流川の感想だ。 赤木くらいあるであろう背丈に金色の髪、青い目をしているため、嫌でも人目を引く。 「Who's this boy ?」 急に殴られたのが頭に来たのであろう、それは流川を見下すように見据えた。 しかし、湘北の問題児はその程度の事で怖気づくような可愛いヤツではない。 げしっ。 何やら痛そうな音がしたと思えば、静かだが冷ややかな声が耳に届いた。 『を離して下さい、マイク。 怯えているじゃないですか。』 『いって〜な! 蹴らなくてもいいだろ、エリオル!!』 しぶしぶながらやっと解放されて、はほっと息を吐いた。 流川の背に隠れてしまったに、エリオルと呼ばれた少年がにっこりと微笑んだ。 『久しぶりだね。 元気だった?』 その笑顔に安心したのか、はにっこりと微笑んだが、しばらくして首を傾げた。 『どうしてココにいるの? まだ、飛行機の時間じゃないでしょう?』 何がおかしいのか、二人は顔を見合わせて笑う。 『を驚かせようと思ったんだ。 一つ前の飛行機に乗ったんだよ。』 微笑ましい雰囲気、と親しく会話をしている二人を流川は全く知らない。 「…オイ。」 不機嫌丸出しのその声で、はやっと流川の存在を思い出した。 「あ、ゴメンなさい…」 困ったように頭を掻いて、は二人を見上げた。 「えっと… こっちの大きい方が、マイケル・ブラウン。 アメリカで知り合って、お世話になったの。」 先程殴られた事を根に持っているのであろう、マイケルはにこりともしなかった。 「こっちは、エリオル・トーマス。 イギリスで出来た友達。」 (イギリス?) 不審そうに自分を見据える流川に、エリオルはにこりと笑った。 「初めまして、流川楓君?」 (日本語使えるじゃねえか…) 不機嫌をかもし出す流川に、エリオルは続ける。 「をバスケに引き戻したのは君らしいね。 僕からもお礼を言うよ、ありがとう。」 マイケルが口を挟む。 「の、ボーイフレンドって訳じゃなさそうだな。」 ジロリと睨む流川を鼻で嘲笑って、続ける。 「ま、ライバルは"先輩"と"幼なじみ"くらいだな。」 何故か挑戦的なその口調に、流川は。 「…何しに来たんだよ。」 と、つまらなそうに呟いた。 答えたのはだった。 「二人とも留学生なの。 二週間だけだけど、家にホームステイして、一緒に学校にも通うのよ。」 ホームステイ?! 流川は二人を見比べた。 喧嘩っ早く、自信過剰で手が早そうなマイケル。 大人しそうに見えるが、一癖ありそうなエリオル。 これからの二週間、から目を放さない方が無難であろう。 |