Side



はち☆

 目を開けると。

 見覚えのない部屋の風景。

 そして、誰かに抱き締められている。

 幼なじみではない。

 少し頭を上げると。

(そか… ボスの家だ。)

 まじまじと、藤真の顔をじぃっと見た。

 今までは、身長差もあり、こんな近くで藤真の顔を見た事はなかった。

 長いまつげ、茶っぽい髪が、意外と白い肌を流れている。

 整った顔立ち。

 なるほど、女生徒達が騒ぐのが納得できる。

 そして何より。

 温かい。―――――

 自分を抱き締める藤真の腕が、とても心地良い。

 その温もりに、再び眠気を誘われる。

 は少しだけ、藤真の方に身を寄せた。

 いつもは怖いボスが今日は優しくて、少しくすぐったかった。



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