その日の放課後。

 通常の練習の終了後。

 藤真の特別レッスンでは。

「違う!」

 藤真の声に、反対側のゴールでシュートの練習をしていた竜が驚いて肩を震わせた。

 そろ〜っと、視線を投げる。

「違う!」

 藤真の罵声が飛んだ。

「違う! 何度言わせるんだ!」

 藤真の叱咤にもめげず… いや、慣れたと言うべきだろう。

 樋口とは、練習を続けていた。

「ボクだったら、逃げてるだろうにゃぁ…」

「違う!!」

 独り言。

 それが聞こえたようなタイミングで、飛ぶ罵声。

 竜は自分が怒られているような気持ちになってしまう。

「…帰ろう。 、炎… がんばれヨ。」

 ここ数日、藤真はどこかぼんやりしていて、練習にも身が入っていない感じだった。

 と樋口だけが知っている、鬼コーチの顔。

「…やっぱ、ボスはこうじゃないとにゃぁ。」

 竜が呟いた。

 冬季の大会が、始まる。



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