「ちわーっす!」 「お邪魔しまーす。」 と竜が体育館に入る。 「あ、ちゃん。 こんにち…」 振り返った真琴が、竜を見て言葉を飲み込んだ。 竜はしまったと言った様子で、首を竦める。 「真琴さん?」 が首を傾げた。 真琴はの声に気付かず、竜を見据えたまま口を利いた。 「…更科の、13番よね?」 竜は首を竦めた。 「はい、そ〜です。」 何やら複雑な空気が流れる。 「…白石、さんよね?」 「白石 竜。 今は………」 「竜? ここにいたんだ?」 突然の声に、振り返る。 「あ、京〜!」 二年の二葉 京。 竜は恨めしそうに京を見据える。 「バカ! おいて行くなんて信じらんない! 迷子になったじゃん!」 「…教室で待ってろって言ったんだけど。」 苦笑う京。 そこへ、着替えを終えた樋口が姿を見せる。 「何? 京ちゃんの知り合いなん?」 京が頷く。 「親が再婚してね。 兄妹になったんだよ。」 「そう言う訳で、今は二葉 竜です。」 竜が真琴に言った。 真琴は竜を見据えたまま口を利く。 「ねぇ、ここでバスケする気はない?」 竜は別段驚いた様子もなく、黙って聞いていた。 「貴女程の実力者がいてくれれば、もの凄く心強いし… 今年は、どうしても負けられないのよ…」 竜は小さく首を振った。 「ボクは、更科以外でバスケをする気はありません。 今日は、京を探しに来ただけだし。」 真琴は少し残念そうに俯いた。 「練習は見ていてくれても構わないから。 気が向いたら、入部、考えておいてね。」 樋口が小さく笑った。 「ちゃん、練習始まるで。」 真琴と竜の会話が、読めていないのだろう。 首を傾げていたは、樋口の声で我に返った。 「…チュッパチャップス。」 「は?」 の突然の声に、首を傾げる樋口。 は何も言わず、練習を始めてしまった。 「…チュッパチャップス。 それが何なん?」 の言葉が理解できず。樋口はしばらく集中出来なかった。 |