「嫌いだな〜、こういうの。」 聞き慣れた声に、恐る恐る目を開ける。 竜がを庇うように、立っていた。 ボールは、竜が蹴り落としたらしい。 周りに散らばっていた。 「何が気に入らないか知らないけどさ、何? に、怪我させる気だったの?」 竜の言葉に、眉を顰める。 「わざとじゃないわよ。 言い掛かりはよしてくれる?」 「部外者は関係ないでしょ。 黙りなさいよ。」 「気分が悪いわ、私塾があるからもう帰る!」 「じゃ、そう言う事でよろしく、キャプテン。」 四人は揃って体育館を後にした。 「あ、ちょっと…」 振り向きすらしない4人に、真琴が溜息を吐いた。 「練習を続けて。 ちゃんは、こっち。」 真琴が続ける。 「大丈夫? 怪我はなかった?」 「はい。 竜ちゃんのおかげで。」 の言葉に、竜が得意になる。 「ボクね、小さい頃から拳法習ってたんだ♪ は、ボクが守るにょーんv ねーv」 「ねーv」 首を傾げながらも、が竜の真似をしてにこりと笑った。 真琴が息を吐いた。 「真琴さん、真っ青じゃん? 大丈夫?」 竜の声に、頷く。 「真琴、どうした?」 突然の声に、真琴が振り返った。 「あ、健司………」 女子が何やらもめている様で気になったらしい。 真琴に代わって、竜が一部始終説明する。 藤真は溜息を吐いた。 「試合前だって言うのに… どうにかならないのか。」 「………椛(もみじ)がいてくれれば…。」 「誰なん?」 ぼそっと呟いた真琴に、答える声があった。 「樋口…」 藤真が少し驚いた様子で続ける。 「練習を続けるように言ったはずだ。」 「集中出来ひんわ。 それより、椛って誰?」 樋口が真っ直ぐに真琴を見据える。 真琴は言葉に詰まって、口を閉ざした。 「ちゃん、怪我しかけてん。 それでも、知る権利もないか?」 いつの間にか、翠も寄って来ている。 困った様子の真琴に、藤真が溜息を吐いた。 「練習が終わったら、俺から話そう。」 とりあえず、その場は解散。 それぞれ練習に戻った。 |