ハーフタイム



「…なかなかやるじゃない。」

 ピナが細く笑った。

 が加わる事によって、泉沢のペースになり始めてきた。

 前半終了。

 ただいまの得点は、29-18。

 秋山の思い通りに行った。

 一対一なら、負けてない。

 が、一人を抜いてくれる事も重要だった。

「やっぱり、藤真が見込んだだけあるな。 ゲームの流れをよく読んでいる。」

 秋山の声に、が小首を傾げる。

 は、ちらっと富川のベンチに目をやった。

 ピナが、何やら話している。

 ピナが抜けた富川は、ゲームをしやすかった。

 だが、やはり40cm程の身長差が、シュートを許さない。

「フックショットの練習してたのに………」

 頬を膨らますの頭を、秋山が撫でる。

「お前はよくやってるよ。 見習って欲しいくらいだ。」

 ちらっと、真琴に視線を移す。

 真琴はそっぽ向いた。

「オイ…」

 秋山が少しキツク言う。

「この万年ノーコン。 キャプテンの自覚あるのか。」

「あります、ごめんなさい。」

 真琴が肩を落とす。

 アガリ症が災いになり、全く動けていない。

 何より、シュートが一本も入ってない。

「まぁまぁ。 わざとはずしてる訳じゃないんだから。」

 翠の声に、秋山が食ってかかった。

「当たり前だ。 わざとなら、絶対許さないぞ。」

 真琴が首を振る。

「ごめんなさい。 でも、指が震えちゃって… 入らなかったらどうしようとか、決めなきゃ負けちゃうとか… そう言う風にばかり考えちゃって…」

 一瞬、場がシーンとなる。

「真琴さん。 パス回しますから。」

 がにっこり笑った。

「え、でも…」

「大丈夫ですよ。 失敗しても、椛さんがリバウンド取ってくれますから。」

「おう、まかせろ。」

 の声に、秋山がガッツポーズで答える。

 後半戦が始まる。

 富川は、きっとピナを出すだろう。

「樋口くん、頑張ってるかな。」



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