勉強会



「あっつ〜い!!」

 翠が叫んだ。

 季節は7月初旬。

 時間はお昼時、一番暑い時間帯である。

「叫ぶなや、もっと暑うなる。」

 樋口が苦々しく呟く。

 いつもなら、体育館でバスケットをしている週末の午後。

 しかし、今は。

「もうすぐ夏休みやなぁ〜、大阪帰ろうかな…」

 イスの背もたれに寄りかかり、身体を伸ばす。

「楽しい夏休みは試験が終わってからだ。」

 藤真が現れた。

「ボス、遅いんちゃう? オレ等待たせといて。」

 隣に座るに同意を求めるように言う。

「三年は忙しいんだよ。 と言うか、お前達絡みの用事でな。」

 場所は、スウィート。

 かなり馴染みの場所と化した、お決まりの席である。

 本日のメンバーは樋口と翠と、京と竜、そして、藤真と真琴と大祐である。

「さ、始めるぞ。」

 藤真の一声に、翠と竜があからさまに嫌な顔をした。

 夏休み。

 入る前に期末テストがある。

 テストで赤点等取れば、夏休みの練習に響く。

 真琴や大祐とそんな話をしていて、いつものメンバーで勉強会をする事になった。

 藤真と真琴は学年で上位5位以内の成績。

 大祐も平均以上の優等生。

 二年のエース・二葉京は学年首位。

 以上は、まず問題ない。

 気になるのは、一年の三人と… 二年の竜である。

 練習が忙しかったと言うのもあるが、中間試験の点数から見た時、引っかかる教科が出るかもしれない。

 それでは困るのだ。

 他の部員ならまだしも、主要メンバーが補習になると辛い。

「まずは、数学から。」

 藤真はそれぞれの教科書に印を付けていく。

「ココまで終わったら、好きなものを注文していいぞ。 自力で解いて全問正解だったら、俺のオゴリだ。」

 樋口が小さく笑った。

「ほな、ゴチになろか。」



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