結果



7月10日 晴れ。

 気温は午後二時を回った現在、33℃。

 この日。

 佐藤コーチはいつに増して上機嫌だった。

 部員達が練習を始めているであろう、体育館のドアを開ける。

「「「ちーっす!!」」」

「はい、お疲れ様です。」

 練習を中断して、藤真が集合をかける。

 佐藤コーチがにこにこして言った。

「皆さん、期末試験お疲れ様でした。」

 "期末試験"。

 大祐と真琴が顔を見合わせて首を竦めた。

 今朝から掲示板に張り出された、学年及び学校上位20名の名前と点数。

 佐藤コーチが樋口の頭を撫でた。

「一年の社会、難しくしたんですけど頑張りましたね〜。」

「ヤメや! すぐガキみたいに頭撫でよる…」

 その手を振り払った樋口の側で。

「翠、社会死んだ…」

 翠にそう呟かれて、真琴が苦笑った。

 順位   名前 (クラス)   成績 
 1   樋口炎 (1−2)   500 
 2    (1−2)   498 
 3   藤真健司 (3−1)   497 
 4   二葉京 (2−3)   496 
 5   黛真琴 (3−4)   495 
 :   :   : 


「この化け物集団め…」

 大祐がぼそっと吐き捨てた。

「今回の試験はレベルが高かったと、教師一同喜んでますよ。」

 樋口が踏ん反り返る。

「オレはやる言うたらやるで。」

「バスケ部が上位5位までを占めるのは、学校始まって以来の出来事。 そこで。」

 ゆっくりと、部員達を見回す。

「野宮(のみや)理事長から、バスケ部にボーナスを頂きました。 今年は、長野にでも合宿に行きましょうか。」

「ほんま!? さすがノンちゃん、太っ腹や! 今度茶菓子持って、理事長室遊びに行かなあかんな。」

「友達?」

 竜が訊ねると。

「マブダチや。」

 樋口が偉そうに答えた。

 樋口がにぃっこり笑って藤真を見上げた。

「いつでもええから、三日な!」

「…わかっている。」

 藤真が小さく息を吐いた。

「キャプテンも惜しかったですね。 炎のヤツ、本当に満点なんて。」

 京はこう言うが、大祐は内心思った。

(497点…。 遊びだと思っていたけど、けっこう本気だったんだな、健司。)



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