夏祭り



「何や、騒がしいな。」

 練習終了後、と樋口、藤真と、竜と京はいつもより活気付いた町に首を傾げていた。

「あ、神社のお祭り。 確か今日ですよね?」

 京が藤真を見上げる。

 7月最後の日曜日。

「ああ。 そうだったな。」

「お祭り!? ねぇ、お祭り??」

 竜の瞳がきらきらと輝く。

 藤真がちらっとを見ると。

 浴衣で出かける親子に、視線を向けていた。

 藤真が声をかけるより先に。

「ぼーっとしてたら転ぶで、ちゃん。」

 樋口が言った。

「せや。」

 樋口がポンと手を叩いて続ける。

「なー! みんなで行かへん? 一時間後に、神社の鳥居の下! ほな解散! 遅れたら、オレにたこ焼きを奢る刑や!」

 捨て台詞のように吐き捨てて、樋口が駆け出した。

「炎が遅れたらー?」

 竜が声を投げる。

「何でも言う事聞いてやるわ!」

 段々小さくなる影を見送りながら、藤真が息を吐いた。

「ったく。 強制参加か…。」

「いいじゃないですか。 たまには、皆でぱーっと。」

 京がにっこりと笑った。

「ボス、翠とかも連れて来てにょ☆」

 ひょんな事から。

 泉沢バスケ部メンバーで、神社のお祭りに遊びに行く事になった。



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