大阪 - 豊玉 -



そろ〜。

 日が高く暑い。

 4人は、とある場所に忍び込んでいた。

「おぉ………」

 樋口が感心したように呟いた。

「どや? 高校バスケ・大阪一位の豊玉高校や。」

 南の声に、岸本が嬉しそうに頷く。

「めっちゃかっこええやん。 ラン & ガン、最高や。」

「ラン & ガン?」

 が首を傾げる。

「走りっこの事や。 点の取り合いに、自信がないと出来ないやろな。」

 樋口が説明してやる。

と。

「何や、ガキ。 今日は小さいの連れて。」

 体育館から、一人の男が出て来た。

「「北野さん!」」

 嬉しそうに声を揃えた南・岸本に、樋口は少し驚いた様子で北野と呼ばれた男を見上げた。

「このおっちゃんが、二人の言うとった北野さんなん?」

「ほぅ。」

 北野は少ししゃがんで、樋口に目線を合わせた。

「お前知ってるで。 ミニバスにおったやろ? 6番やったな。 どこのチームやったかな〜………」

と。

「お。」

 を見て、細く笑った。

「泉沢12番やないか。」

 北野が突然そんな事を言うから。

「何で知ってるんや?」

 樋口が口を挟む。

「週バス(週刊バスケットボール)に、ちょっとだけ載ってたんや。 136 cm 、えらい小さいな思うて、覚えとった。」

「139.4 cm です。」

 は少し頬を膨らませて、首を振った。

「そうかそうか、悪かった。」

 立ち上がって、南と岸本を見る。

「五分後から試合や。 見て行くか?」

「「もちろんや!」」

 嬉しそうにはしゃぐ二人。

 南に買って貰った缶コーヒーを片手に、樋口とは豊玉のゲームを楽しんでいた。



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