大阪 - タイムカプセル -



「タイムカプセルなー。 何入れたんや?」

 公園の隅。

 せっせと穴を掘る樋口とに、南が問う。

 二人は同時に振り返って声を揃えた。

「「内緒。」」

「別にええよ。」

 一心に穴を掘る、小さな手。

 南は小さく息を吐いた。

「また、一緒に来い。 なんぼでも案内したるわ。」

「ん!」

 樋口が元気に頷く。

「俺ら、あっちでバスケしとるから、終わったら来や。」

「わかった。」

 時々楽しそうに、顔を見合わせて笑い合っている。

 元気な声。

「…神奈川行っても、アイツは元気やな。」

 南の声に、岸本が頷いた。

「せやな。 ほんま楽しそうや。 安心したんちゃうか、南?」

「めちゃくちゃ安心したわ。 これも。」

 一度振り返る。

「あのおチビちゃんのおかげやろな。」

「ああ。 エエ子や。」





 とりあえず。

 お互いが持っていた物と、写真、それにお互い宛の手紙を入れようとの事になった。

「手紙って…」

 が困ったように首を傾げる。

「毎日会ってるし、いっぱい話してるし… 何を書いたらいいかな?」

「…今、正直に思ってる事。」

 樋口が続ける。

「オレは、ちゃんと二人でこうしておるのが、すごく楽しいんや。 せやから、一緒におりたいと思う。」

「ん。」

 無事にタイムカプセルを埋め終えた。

と。

「樋口くん、何してるの?」

 が首を傾げた。

「場所忘れんように、目印つけとるんや。」

 小枝で、木に名前を刻む。

 "樋口炎" ""

「これで、絶対忘れないやろ。」

 樋口はを見つめて、にっこりと笑った。

「楽しみやな〜v 今度一緒に来る時は、いつになるやろな。」

 泥だらけになった手を繋ぐ。

 二人が待っている、公園の端のコートへ足を向けた。



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