どさどさ。 床に散らばった週刊誌。 その側では、藤真がしっかりとを抱きかかえていた。 小さなの手が、強く、藤真の服の裾を握る。 突然の事に驚いたのだろう。 少女はかすかに震えていた。 「大丈夫か?」 藤真の言葉が完全に発せられる前に。 ピカ。 窓の外に、閃光が走った。 「きゃあ!」 が悲鳴を上げる。 わずかに遅れて、ごろごろと言う音が聞こえた。 「、大丈夫だ。 ただの、雷…」 藤真の声。 は何も言わず、きつく目を瞑って耳を塞いでいた。 ピカ。 「きゃああ!!」 小さな体が、震えている。 「…」 は何も言わず、首を振った。 いつもは元気なが、こんな姿を見せるなんて意外だった。 藤真は少し驚いていた。 どんなに元気で頑張っていても、はただの中学一年生の女の子なのだと。 知っていたはずなのに、改めてそう思わされた。 何を言ってもただ震えているなんて、いつもの姿からは想像できない。 藤真は、優しくを抱きしめた。 かける言葉に迷ったのか、少し間があった。 「…、ちゃん… 大丈夫。 ただの雷だ。 怖くない。」 を安心させてやるためか、優しく抱き締める。 藤真自身気付いているのだろうか? その声は、今までの誰に掛ける声よりも優しい物だった。 しばらくそうして髪を撫でてやると、落ち着いたのか、の震えは止まった。 そこからまたしばらくして、明かりが点いた。 藤真がほっと息を吐いた。 停電も直ったし、雷の音も聞こえない。 も、もう大丈夫だろう。 「ちゃん…?」 答える声はない。 藤真の温もりに安心したのか、は眠ってしまっていた。 この場でじっとしている訳にも行かない。 「ちゃん。」 軽く揺すっても、は眉一つ動かさなかった。 藤真は一度、息を吐いた。 小さな身体を抱き上げる。 知っていたことだが、改めてがどんなに小さいか、気付かされた。 自分のシャツを、強く握る小さな手。 この小さな少女に無理をさせていると思うと、少し、胸が詰まった。 |