大会開始



 11月も半ば過ぎた頃。

 冬季の大会が始まった。

 本日は、12月初旬。 三回戦目である。

「「「「「 ありがとうございました!!! 」」」」」

 泉沢 vs 馬芝中。

 78 - 49 。

 藤真率いる男子バスケ部は、順調に勝ち進んでいた。

 ロッカールームに下がろうとした時に肩を叩かれて、樋口が振り返る。

「お疲れ! 12番!」

 週バス記者の成瀬だ。

「調子いいじゃない、泉沢。 男子も女子も、順調順調。」

 まるで自分の事のように、嬉しそうに大きく頷く。

「当たり前や! 優勝まであと2試合! このまま突っ走るで!」

 樋口が元気に答える。

「あら?」

 成瀬が首を傾げた。

 しげしげと、樋口を見つめる。

「な、何や?」

 少し気味悪そうに、一歩下がった。

「樋口君、今の身長と体重は?」

 この問いに、待ってましたとばかりに踏ん反り返った。

「156 cm の 41 kg や!」

 あまりに得意げに言うその姿に、大祐や京等が苦笑った。

「あら、大分大きくなったわね。(まだ小さいけど。)」

 成瀬が感心したように呟いて、樋口の頭を撫でた。

「もっと体重を増やせって言ってるだろ。」

 藤真が口を挟む。

「増やせ言われてすぐに増えるか!」

 樋口が眉を寄せた。

「女子は隣町で準決勝ね。 気になる?」

 にやりと口元だけで、成瀬が笑った。

「心配ないわ。 姫がおる。 一緒に優勝する言うて頑張ったんやから。」

 女子は男子より、出場するチームが少ない。

 男子は、次週の土曜に準決勝。

 その翌日、日曜に決勝。

 女子は、今日の準決勝から一週間開いて、次週の日曜に決勝である。

「オレら今から女子の方行くねん。 なっちゃんも行くやろ?」

 開始時間がずれているので、今から行っても後半少しくらい見れるだろう。

「もちろん、行くわよ。」



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