帰り道



 藤真にアイスをご馳走してもらった後、三人はのんびり川辺を歩いていた。

 風が頬を撫でる。

「う゛ぅ〜… 寒いなぁ。」

 樋口が肩を震わせた。

「アイスなんか食べるからだ。」

 藤真が、首にかけていたマフラーを樋口に渡す。

「巻いてろ。」

 ぽんと、頭を叩いた。

 その様子を見て、が微笑んだ。

「何や、姫? 欲しい?」

 マフラーを手に、樋口が首を傾げる。

「ううん、何かいいなーって思ったの。」

 コツンと、小石を蹴った。

 三人並んで、歩く。

 の今の身長は、148 cm の 37 kg 。

(二人共、大分背が伸びたな。)

 夕暮れに伸びる影。

「と、ボスって逆方向やない?」

 樋口が首を傾げる。

「たまには遠回りもいいだろう。 俺が二人を送るよ。」

 藤真が微笑む。

 がつられて笑った。

 いつもは樋口と二人で歩く帰り道。

 は二人の間に割って入った。

「な、何や?」

 樋口が驚いた声を上げる。

「手!」

 二人を見て、元気に言う。

「手?」

 藤真が首を傾げて手を差し出した。

 がその手を取って、にっこり笑った。

「!!」

 自分より先に藤真と手を繋がれてしまって、何とも言えない敗北感を感じる。

「姫! オレも!」

 自分の手を差し出した。

 手を繋いで、キッと藤真を睨む。

(…子供だな。)

 藤真は首を竦めた。

 手を繋いで三人で歩く帰り道。

 少し、嬉しかった。



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