そう言えば、三年前も。

 同じような夏の暑い日だった。

 本屋に出かけていた帰り、一雨降られて…

 すぐに止むだろうからと、店の前で雨宿りしていると。

ちゃん?」

 樋口が通りかかった。

「何や、傘がないのか… ほれ、入ってくか?」

 そう言って家まで送ってくれた事があった。





(ダメだ…)

 小さく息を吐く。

 どうして、こんな時に思い出すのは樋口なのだろう。

(炎くんはもう… どこにもいないのに…)

「? ちゃん?」

 突然名を呼ばれ、が振り返る。

「あ、先輩…」

 目が合うと、藤真は優しく笑いかけた。

「どうした? 俺に何か用かな?」

 藤真の声に、頷く。

「誕生日おめでとうございます。 ケーキ焼いたんです… どうぞ。」

「ありがとう。」

 箱を受け取って、家の鍵を開ける。

「濡れなかった?」

「はい、大丈夫です。」

 藤真の大きな手が、ぽんとの頭を撫でる。

「で、何で泣きそうな顔してるんだ?」

 がきゅっと唇を噛んだ。

「ちょっと… 色々思い出しちゃって…」

 言葉が濁る。

 藤真が優しく微笑んだ。

「少し待たせたみたいだね… ごめん。」

 の髪を撫でて、続ける。

「上がって休んで行くか?」

 が小さく頷いた。

「じゃ、お邪魔します…」





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エンディング 『おじゃまします 3』 です。

藤真エンディングおめでとうございます!

他にも色々パターンがありますので、お時間のある方は挑戦してみて下さい。


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