「あ、でも…」



…?」

 背後から声をかけられて、が振り返った。

「三井先輩…」

 洋平が首を竦める。

「三井さん、ちゃんお願いしますよ。 どこか行く所があるみたいだから、送ってあげて下さい。」

「…何でテメェが一緒にいるんだよ?」

 眉を寄せる三井に、洋平が首を竦める。

「痴漢からちゃんを助けたってのに、そんな嫌な顔しないで下さいよ。 じゃ、俺はこれで。」

 三井がを見据える。

「痴漢…? 大丈夫だったのか?」

「はい。 水戸くんが助けてくれたから…」

 三井の声に、が頷く。

 三井がぽりぽりと頭を掻いた。

「送ってってやるよ。 どこに行くんだ?」

「あ、藤真先輩の家に…」

 の声に、三井が目を丸くする。

「あぁ!? 何でだよ?」

「あ、あの… 今日、藤真先輩の誕生日で… だから…」

 が困ったように首を竦めた。

「…嫌なら、一人で行きます…」

「別に嫌だなんて言ってないだろ。 ほら、行くぞ。」





ピンポーン。

 チャイムを鳴らす。

「はい。」

ガチャッ。

 ドアが開いて、藤真が顔を出した。

「ん?」

 と、三井の姿を見て首を傾げる。

「こんばんは。 どうした?」

「先輩、お誕生日おめでとうございます。」

 はにこりと笑って、プレゼントを差し出した。

 つられるように、藤真が笑った。

「わざわざありがとう。 上がって行くかい?」

「あ、じゃぁお言葉に甘えて…」

「ダメだ!」

 の声を、三井が遮る。

 そのまま続けた。

「帰るぞ!」

 強く腕を引かれて、が困ったように眉を寄せた。

「え? あ、三井先輩…!?」

 が振り返る。

「先輩、おやすみなさい!」

 藤真に声を投げた。

「ああ、おやすみ。 今度、お礼に何かご馳走するよ。」

 笑顔で、と三井を見送る藤真。

 小さく首を竦めた。

「…余裕のない男はかっこ悪いぞ、三井。」

 風に、髪が揺れた。





+----------------------------------------------------+





エンディング 『三井寿』 でした。

ゲームオーバー!

藤真先輩とハッピーエンドを迎えられるように、再チャレンジしましょう!


back