飲み会 〜湘北〜



「三井君、飲み過ぎじゃない?」

 座ったまま立てない三井に、は声を掛けた。

「いってぇ… 赤木のヤロウ………」

 一発が効いたらしい。  酔いの回っている体が言う事を聞かない。

「もう解散だよ。 肩貸すから、帰ろう。」

 にっこり微笑んだの顔を至近距離で見て赤くなるが、酔っているため気付かれずに済んだ。

 店を出て、風にあたりながら、夜道を歩く。

 大分酔いが醒めて来たが、肩を借りているこの状況が美味しく、三井は酔ったふりをしていた。

(卒業したんだよな…)

 ちらっと、を見る。

(コイツとも、もう会えないんだよな…)

 視線を感じたのか、が首を傾げた。

「どうしたの?」

 三井は躊躇いがちに口を利いた。

「…卒業したな。」

 突然の言葉には咄嗟に頷いた。

「…は、大学どこだっけ?」

「えっと、海南大…」

 三井は小さく息を吐いた。

「牧達によろしくな…。」

 が首を傾げる。

「…三井君変だよ? どうしたの?」

「もうアイツラの顔見なくて済むと思うと、せいせいしてな。」

 にっと笑った三井に、は小さく笑った。

「うわ、ヒドイ〜。 最低な先輩ね。」

 その笑顔に、何度励まされたかわからない。

「うりゃ!」

 三井はいきなり、の頭を引っ掻き回した。

「きゃ、三井君何するのよ!」

 慌てて手を振り払う。

「ははっ! 変な頭!」

 腹を抱えて笑う三井に、は大きな声で怒鳴った。

「もう知らない!」

 怒ってぷいっとそっぽ向くが、鏡を覗いて吹き出してしまった。

「やだも〜、変な頭〜!」

 しばらく二人で笑い合って、並んで歩いた。

「元気でやれよ!」

 家の前まで送ってくれて、三井がの頭を撫でた。

「ん。 三井君も元気でね。」

 いつもと変わらない笑顔で言って、は手を振った。

 月明かりの下、小さくなる影を見送りながら。



× × × × × × × × × ×



 ミッチー、エンディングです。
 ヒロインシラフバージョン。
 の三井は素直じゃない。(笑) 



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