ホワイトデー☆


「さぁ、皆行くわよ!」

 元気いっぱいに大声で、彩子が言った。

 皆は何事かと、首を傾げる。

「彩ちゃん、行くってどこに…?」

 恐る恐る訊ねた宮城に、彩子は即答する。

「決まってるじゃない! の後をつけるのよ!」

 楽しそうに笑って、彩子は続けた。

「きっとお返しを貰うため、待ち合わせをしているに違いないわv 特別なチョコのお返しに、一体何を貰うのかしら?」

 くどいようだが。

 湘北のメンバーがそう思い込んでいるだけで、藤真は別に特別なチョコを貰った訳ではない。
(バレンタイン参照)

「さ、早く早く♪」

 メンバーを急かす彩子に、三井が溜息を吐いた。

「…もう貰ってたみたいだぜ。」

 先程、首にぶら下がっていたネックチェーン。

 身に付けていると言う事は、それをプレゼントしてくれた相手に好意を持っているから。

 藤真がと親しいのは知っている。

 しかし、の方も満更ではないなど… 知らなかった。

「あら、そうなんですか。」

 つまらないと付け足して、彩子は残念そうに肩を落とした。



「すみません、待ちました?」

 校門まで駆けつけて、は相手を見上げた。

「…遅い。」

 無愛想に答えたのは藤真だった。

 は申し訳なさそうに、頭を下げる。

「なんてな。 嘘だよ、全然待ってない。」

 くしゃっとの髪を撫でて、藤真が微笑んだ。

「先輩、急用ですか?」

 昨日電話が来たのだ。

会いたいから、迎えに行くと。

「まぁ… 急用と言えば、急用かな。 …ん?」

 が持っている物を見て、藤真が首を傾げた。

「誰から?」

「あ、三井先輩から… ネックレス、貰っちゃいました。」

 は首に下げたシルバーネックレスを、藤真に見せた。

「可愛いじゃないか。 似合ってるよ。」

 微笑む藤真(余裕ですね)に、は困ったような顔をした。

「でも…」

「わかってる。 ほら、行くぞ。」

 の手を引いて歩き出す。

「俺もお返しあげないとな。 何か欲しい物あるのか?」

 は少し考えて、藤真の袖を引いた。

「先輩、あそこ行きたいです。 チョコチップサンデー…」

「バニラ? そこでいいのか?」

 馴染みのアイスクリームショップである。

「はい。 帰って来て、まだ行ってないんです。」

「わかった。 ご馳走するよ。 それと…」

 藤真は鞄の中から、小さな包みを取り出した。

「オルゴール人形。 ウサギで良かった?」

 は嬉しそうにそれを受け取った。

「はい! ありがとうございます。」



「ただいま。」

 返事の返ってこない部屋にそう言って、は早速藤真から貰った包みを開けた。

「わ〜、可愛いv」

 手のひらサイズのぬいぐるみ。

 ピンク色のウサギが、ハート形の包みを抱き締めている。

 はそれを机の上に飾った。

 携帯の着信音が鳴った。

 メールが届いたようだ。

−お帰り、。 ガトーショコラ美味しかったよ。 ケーキ買って来たから、俺の部屋においで。−

 は灯りの点いた隣の部屋を見て、メールを返した。

−直ぐ行くから、紅茶入れておいてね。(^-^)/−

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



 はい、ホワイトデードリームでした。
 キリのいい所で、オアズケ。(違)
 結局、ネックチェーンは何だったのか
 藤真とアイスを食べて、何時に帰って来たのか
 夕飯は食べたのか(笑)
 ナドナド…
 様々な疑問を残して、強制終了。



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