「すっかり見とれちゃった…」 突然の声に、二人が視線を移した。 「チャン…」 仙道が首を竦める。 「何だ、見てたんだ。」 「はい。 通りかかったらボールの音が聞こえて… 思わず見とれちゃいましたよ。」 にこりと笑うに、少し照れたように頬を掻く。 「流川くんも。 すごかったよ。」 流川は何も言わず、踵を返した。 「…帰るのか?」 「え?」 流川の問いに、が目をぱちくりさせた。 「あ、いけない…! やっちゃった!」 藤真の家に向かう途中だったのだ。 「暗いから送ろうか、ちゃん?」 「大丈夫ですよ。」 仙道の声に笑顔で答えて、は手を振って歩き出す。 間もなく。 藤真の家が見えて来た。 ピンポーン。 チャイムを鳴らす。 物音一つない。 どうやら、留守のようだ。 「どうしよう…」 ここで待つ。 探しに行く。 |