飲み会 〜湘北〜



「大丈夫ですよ! ほら、飲んで!」

 彩子にグラスを渡され、は覚悟を決めた。

 コールに合わせて、初飲みでイッキ。

「お、イイ飲みっぷりじゃねえか!」

 三井が手を叩いて笑い

「「さん、サイコー!」」

 と、宮城と桜木、コヤツラも出来上がっている。

「・・・美味しい。」

 は平然としていた。

「でしょう〜? ピーチフィズって言うんですけどね。」

 もう一杯差し出そうとする彩子に、赤木の制止がかかる。

「彩子、もう止めておけ。 いきなり飲ませる物じゃない。」

「はい・・・ わかりました。」

 あっさり引き下がった彩子に、は胸を撫で下ろした。

、大丈夫か? カクテルは後でくるから、あまり飲まない方がいいよ。」

「ありがとう、小暮君。」

 差し出されたウーロン茶で、は口直しをした。

「赤木君も。 助かったわ。」

 赤木と小暮は、顔を見合わせて苦笑った。

「実はな、彩子が去年コレで、酒の味を占めたんだ。」

 去年の飲み会の事である。

「あ、あたし風邪引いて行けなかったやつ?」

 小暮が頷く。

「来ない方が良かったと思うな。 面白がって、飲まされるから。」

げし。―――

 小暮の後頭部に、三井キックが炸裂。

「な〜に、三人で盛り上がってんだよ?」

 出た。

 諦めの悪い男を改め、酒癖の悪い男、三井寿。

〜、ニ次会もあるからな〜。 今日は帰さねえぞ。」

 肩を抱かれて、は焦った。

「わかったから、三井君・・・ 離れてよ・・・・・」

 酒クサイ・・・。

「オイ、どのくらい飲んだんだ?」

 赤木の問いに、シラフの安田が答えた。

「飲み比べしてましたよ。 リョータとだけで、10杯くらい飲んでました。」

 小暮が辺りを見回した。

「・・・ところで、流川の姿が見えないな?」

 同じく、シラフの角田が答える。

「飲まされて・・・ 隅で、寝てます。」

 おそらく酔っ払ったのだろうが、他人に迷惑をかけない辺り可愛い。

 とりあえず、凄い状況になっていた。

「うっうぅ・・・ 晴子さん〜」

「泣くな、花道・・・ 辛いのはお前だけじゃないんだ。 俺だって、俺だって・・・うぅ・・・・・ 彩ちゃん・・・・・・・」

 酔っ払い二人・・・ 泣き上戸。

「てめえ、何寝てんだよ! 飲め飲め!」

 流川を蹴り飛ばす、酔っ払い三井。

「・・・何人たりとも俺の眠りを妨げる者は許さん・・・・・ (ばたん)」

 起きたかと思いきや、再び眠りに付いた気紛れエース・流川楓。

「オイ、彩子! 口紅貸せ!」

 あっさり三井に口紅を貸した彩子。

「桜木、宮城! お前らも来い!」

 彩子の口紅で、寝ている流川の顔にラクガキを始めた。

「やだも〜、先輩! 上手すぎ!」

「ぎゃははははは!!」

「ど〜だ、見たか!」

「はーはっはっは! 間抜け面!!」

 上から。

 彩子、宮城、三井、桜木。

 桜木と宮城、今度は笑い上戸。

 悪戯されているにもかかわらず、流川は一行に目覚める様子はない。

 赤木は頭痛を感じた。

 卒業してもなお、コイツラは自分に迷惑をかけるのか。

「お前らいいかげんにせんか〜!!!」

 ゴリの鉄拳が炸裂した。

 (眠っている流川と、彩子は殴られなかったが。)

「いってえな! 何しやがる!」

 俺様、三井・・・ かなりご立腹。

「彩ちゃん、慰めて・・・」

 宮城、彩子に無視され涙。

「いてえ・・・ うぅっ、何故こんなにも似てないんだ・・・・・」

 桜木、晴子の事を考え、再び泣き出す。

「二次会など出来る状況ではないわ! 解散だ! 解散!!」

 久しぶりに頭に血が上った赤木を、小暮が宥めている。

「ど、どうしよう・・・。」

 は辺りを見回した。

 三人の問題児は、ゲンコツを喰らい少しだけ目がさめた様子。

 流川は相変わらず眠っているし、他の部員達は呆れている。



「・・・いいや。 先に帰っちゃおう。」

「ほら、桜木君。 泣かないの。」

「流川君、じっとしてね。」

「宮城君、歩ける?」

「三井君、飲み過ぎじゃない?」



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 選択ドリーム。 in 湘北。
 ヒロイン、シラフバージョン。
 お目当ての相手と、お帰り下さい。



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