飲み会 〜湘北〜



 コールに合わせて、グビーっと飲み干す

 実は飲み慣れているようだ。

「いい飲みっぷりじゃないですか! ほら、もう一杯♪」

 彩子が差し出すグラスを、次々と空にして行く。

 いいんですか さん?

 カクテルは後々酔いが来ますよ?

「お〜、飲むじゃねえか! 俺と飲み比べしようぜ!」

 三井がの隣に座った。

(まずい・・・)

 と思うが、既に時遅し。

「てめえ、俺の酒が飲めねえとか言わねえよな?」

 三井さん、酔っ払って目が座ってます。

 元・不良、迫力満点。

先輩、俺とも乾杯して下さいよ♪」

サンっ、この天才のも飲んで下さい!」

 グラスを空にしても、次から次へと、お酒が注がれる。

 もう何杯目かわからなくなってきた時、赤木と小暮が騒ぎに気付いた。

「何やっとるか、お前ら!!」

 ボスの威厳で、怒鳴り散らす。

、大丈夫?」

 小暮からコップを受け取って、一口飲む。

 と。―――

「・・・・・まじぃ。」

 はコップを投げ捨てた。

 その動作に、全員一気に酔いが醒める。

 中に残っていた水が、床に零れた。

先輩・・・?」

 彩子が恐る恐るに近付いた。

「彩ちゃん〜! コレ水なのよぉ〜!」

 、目が座っている。

「彩ちゃんが持ってる、こっぷちょうらい・・・」

 "ちょうだい"と言っているようだ。

 舌が回っていない。

先輩、飲みすぎでしょう? 水の方がいいですよ?」

 グラスをから遠ざける彩子。

 それを追っては手を伸ばす。

 上に圧し掛かられるような体勢になって、彩子が助けを求めた。

「先輩達! 見てないで助けて下さいっ!」

 宮城は彩子を引っ張り出し、残りは皆の方だ。

・・・ ほら、酔っ払ってるだろ? 水、飲んだ方がいいよ?」

 小暮さん、そんな優しく言っても、酔っ払いは聞きませんよ。

〜っ、酔ってないもん・・・・・ お水、飲まにゃいもん〜!」

 ぷいっとそっぽ向かれて、小暮敗北。

サンっ、外行きましょう! 風に当たれば・・・」

「お外寒いもん〜! 行きたくにゃい!」

 べえと舌を出されて、桜木花道撃沈。

「にゃはははーっv ちゃん、うったいまぁ〜す!!」

 、カラオケ機を見つけ、マイクを握った。

「こぉら〜! 拍手はど〜したぁ!!」

 マイクを持ったまま、思い切り怒鳴る。

 キィーンと言う奇声を発して、を除く全員が耳を塞いだ。

 その場に崩れた皆を見て、は溜息を吐いた。

「みんな、ネムイのね。 仕方にゃいわ、ちゃんがお歌を歌ってあげましょうね〜v」

 一人盛り上がり、カラオケを始める始末。

「・・・三井、どう責任をとるつもりだ?」

 テーブルの下で、緊急会議が開かれている。

「待てよ、俺も飲ませたが、俺だけじゃねえ。」

「ダンナ、すんません。 面白そうだと思ってつい・・・」

 宮城がしきりに頭を下げる。

「スマン、ゴリ・・・ さんを止めてくれ。」

 とその時。

 今まで隅で寝ていたのか、の叫び声で目を覚ました流川が動いた。

 ものすごい騒音にも構わず、カラオケの世界に入ってしまっているから、マイクを取り上げる。

「にゃにすんのよ〜、るきゃわ! マイク返しなしゃい!」

 背伸びをするが、身長差のためどうあがいても届かない。

「先輩、飲みすぎっす。 あんまり暴れると、黙らせますよ・・・」

 寝起きで機嫌が悪いのか、流川の発言に、宮城と彩子が背筋に悪寒を感じた。

「流川! 止めなさい! 相手は先輩よ!」

「ストーップ! 酔ってるから自分が何をしているのかわかってないんだ、手を出すな!」

 2人掛かりで流川を抑える。

 手におえない状態。

「・・・今日は解散だ。 がこんなで、ニ次回など出来ん。」

 ボスの一言で、皆納得した。

 いつものとあまりにも違いすぎる。

、もう終わりだ。 帰るぞ。」

 の手を引いた赤木に、三井の罵声が飛ぶ。

「待て、赤木。 何でお前がと帰るんだよ?」

 睨むように赤木を見つめる。

は、俺が送って行く。 だから、その手を放せ。」

 赤木は頭痛を感じた。

 予想した通り、言い争いが始まってしまったからだ。

サンはこの天才に任せて、庶民共は帰りたまえ。」

 踏ん反り返る桜木。

さんも、彩ちゃんも、まとめて俺が送ってあげるよ。」

 両手に花を期待する宮城。

「・・・・・・・・・・。」

 何も言わないが、ちゃっかり争奪戦に参加している流川。

 まとまりそうにない空気の中、彩子が手を叩いた。

先輩に、選んでもらえばいいじゃないv それなら、恨みっこなしよ。」

 彩子の提案に、全員賛成した様子。

 さぁ、さん。

 誰と帰りたいですか?



「桜木きゅんと、帰るの〜v」

「・・・るきゃわくんと、一緒がいい〜v」

「リョータ君に、連れて行って貰う〜v」

「三井くん、おんぶ〜v」

「・・・・・・・・ほえ?」



× × × × × × × × × ×



 湘北・飲み会。
 ヒロイン・泥酔バージョン。
 誰に送ってもらいますか?



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